2013年05月22日
<浜岡原発>4年越し大工事、再稼働めぐり県民投票も
下記、5月21日のロイター
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焦点:浜岡原発で続く4年越し大工事、再稼働めぐり県民投票も
ロイター 5月21日(火)19時38分配信
[御前崎市(静岡県)/静岡市 21日 ロイター] 中部電力<9502.T>浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)が、菅直人首相(当時)の要請を受けて2011年5月に運転停止してから2年が経過し、現地では海抜22メートルの防波壁の建設をはじめとする4年越しの大工事が進められている。
川勝平太・静岡県知事が中部電の取り組みを高く評価する一方で、大規模な東海地震を想定する必要がある立地環境が影響して、周辺自治体からは再稼動に対して厳しい意見が目立つ。自民党、民主党双方の県議会議員からは、再稼働の是非をめぐり県民投票すべきとの指摘が聞かれ、同原発の前途は多難だ。
<東京タワー9基分の鋼材で巨大な壁>
ロイターは今月17日、浜岡原発を取材した。敷地内の奥に進むと、総延長1.6キロメートルの防波壁が視界に入る。敷地前面に広がる遠州灘の景色を遮断してそびえ立つ巨大な壁は、東京タワー9基分の鋼材を利用しているという。基礎部分は鉄筋コンクリート構造で、壁は鉄のボックスで構築する。中部電浜岡地域事務所統括・広報グループの村松立也・専門部長は、「重心を下にして、鉄のしなりの粘りで耐える構造としている」と説明する。
当初は海抜18メートルの高さにする工事を進めていたが、内閣府が昨年8月、南海トラフ地震が発生した場合、同原発付近に最大19メートルの津波が押し寄せるとの推計を発表。中部電は昨年12月、防護壁を4メートルかさ上げして22メートルにすると決めた。
<9電力で最も良心的と知事>
東京電力<9501.T>福島第1原発事故の反省を踏まえ、原子力規制委員会は7月施行の新規制基準で重大事故対策を要求する。これにより、浜岡原発での工期は従来の13年末から15年3月に延長となった。対象は3、4号機で、最新・最大の5号機は原子炉への海水流入問題への対応とより強固な地震対策を行う必要があり、完了時期は未定だ。
防波壁以外にも様々な対策が進められている。具体的には、1)津波が防波壁を超え敷地に浸水した場合でも、建屋内への浸水を防ぐために扉を二重化し、内側に水密扉を設置、2)屋外にある海水取水ポンプが浸水により使えなくなった場合、同じ機能を持つポンプを防水構造の建屋内に設置、3)海抜40メートルの高台に発電機を設置し、代替電源を確保する―─などが含まれる。緊急時に原子炉格納容器内の圧力を下げるために排気する際に放射性物質を取り除くフィルター付きベント設備も設置する。
川勝知事は今月13日の記者会見で、中部電の経営判断や取り組みに対し、「安全を大事にしている点について高く評価している。原発を持っている9つの(地域)電力の中で最も良心的な取り組みをしている」などと持ち上げた。
<会派を超えて県民投票に賛意>
静岡県では6月に知事選挙が行わる。川勝知事に、自民党静岡県連が推薦する広瀬一郎氏らが挑む構図だ。「浜岡原発の再稼働は大きな争点にはなっていない」(地元メディア関係者)というが、中部電が対策工事を終える2年後に、再稼働の是非をどう判断するかは、県政の懸案になることが確実だ。
昨年、同県では浜岡原発再稼働の是非を問う住民投票条例の制定に向けて署名活動が行われ、約16万5000人の署名が集まった。県民の声に押され川勝知事が昨年9月、県議会に条例案を提案したものの、最大会派の自民改革会議(自民党静岡県議会会派)などの反対により否決された。
天野一・静岡県議(自民改革会議代表)はロイターの取材で、反対した理由について、「中部電力の災害対策の結果を検証しないで判断するのは失礼だ」と説明したものの、県民投票については、「原発のような未来に大きな影響を与えることでは、やってもいいと思っている」と明言した。
田内浩之・県議(民主党・ふじの国県議団)も、浜岡再稼働に向けた県民投票は必要と強調。仮に同投票が行われた場合、「いまの流れなら(再稼働は)否決になるだろう」と述べた。6月の知事選は「川勝氏優勢」(前出の地元メディア関係者)との観測で、再選ならば、川勝氏が県民投票を再提案するとみられる。投票結果に法的拘束力はないが、仮に再稼働に対して「ノー」が突きつけられた場合、中部電がその声を無視することは難しく、廃炉が現実味を帯びるというシナリオも否定できない。
<県内の市町は反対・懐疑意見が多数>
ロイターはこのほど、防災対策が求められる緊急時防護措置区域(UPZ)の対象となる、浜岡原発から半径30キロ圏の11市町に再稼働についてアンケートを実施した。反対は、牧之原市、吉田町、磐田市の3市町。懐疑的な意見を示したのが、菊川市、森町、掛川市、藤枝市、袋井市の5市町。 焼津市は「明確な考えを示すのは難しい」としている。
容認度が高い回答を寄せたのが、御前崎市と島田市。御前崎市は、工事途上などを理由に、「再稼働は議論の段階ではない」としながらも「原子力を動かさない場合のコスト上昇などを議論すべき。原発はまだまだ必要だ」と回答。島田市は、「県と、中部電と安全協定を結んでいる4市(御前崎、牧之原、掛川、菊川)がOKなら当市もOK」とした。
反対理由としては、「東海地震の震源域であることや、周辺人口規模や産業蓄積の大きさを考えれば再稼働すべきではない」(牧之原市)、「安全・安心を担保されるか不透明感がある」(磐田市)とある。懐疑意見も、「町民の理解を得ることは現段階では難しい」(森町)、「国が安全と判断しても、市民の理解が得られない限り再稼働は認めない」(菊川市)、「将来にわたり安全・安心が確保されなければ運転できないものと考えている」(掛川市)などと、厳しい内容が多い。
中部電は、11市町の反応に対して「安全性を一層向上させ、地元をはじめ社会の安心につながるよう全力で取り組む」とコメントしている。
(ロイターニュース、浜田健太郎;編集 宮崎亜巳)
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去年の7月に総務委員会で浜岡原発に視察した際に、
中電の担当者の方に
排気塔のフィルターを設置するのかどうか質問したら、
その時は、
検討はしているが、金額も高く外国製でまだ予算化していないと話していた。
その時は、工事費用が1,400億円と言っていたけど
あれから防波壁のかさ上げなどでさらに増額となっているだろう。
2年後に住民投票をやるにしろ、
その前にUPZ圏の首長や議会がどう判断するかが前提であり、
UPZ圏の首長や議会が反対していれば、
他の県民が軽々に再稼働すべきとか言えるものではない。
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焦点:浜岡原発で続く4年越し大工事、再稼働めぐり県民投票も
ロイター 5月21日(火)19時38分配信
[御前崎市(静岡県)/静岡市 21日 ロイター] 中部電力<9502.T>浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)が、菅直人首相(当時)の要請を受けて2011年5月に運転停止してから2年が経過し、現地では海抜22メートルの防波壁の建設をはじめとする4年越しの大工事が進められている。
川勝平太・静岡県知事が中部電の取り組みを高く評価する一方で、大規模な東海地震を想定する必要がある立地環境が影響して、周辺自治体からは再稼動に対して厳しい意見が目立つ。自民党、民主党双方の県議会議員からは、再稼働の是非をめぐり県民投票すべきとの指摘が聞かれ、同原発の前途は多難だ。
<東京タワー9基分の鋼材で巨大な壁>
ロイターは今月17日、浜岡原発を取材した。敷地内の奥に進むと、総延長1.6キロメートルの防波壁が視界に入る。敷地前面に広がる遠州灘の景色を遮断してそびえ立つ巨大な壁は、東京タワー9基分の鋼材を利用しているという。基礎部分は鉄筋コンクリート構造で、壁は鉄のボックスで構築する。中部電浜岡地域事務所統括・広報グループの村松立也・専門部長は、「重心を下にして、鉄のしなりの粘りで耐える構造としている」と説明する。
当初は海抜18メートルの高さにする工事を進めていたが、内閣府が昨年8月、南海トラフ地震が発生した場合、同原発付近に最大19メートルの津波が押し寄せるとの推計を発表。中部電は昨年12月、防護壁を4メートルかさ上げして22メートルにすると決めた。
<9電力で最も良心的と知事>
東京電力<9501.T>福島第1原発事故の反省を踏まえ、原子力規制委員会は7月施行の新規制基準で重大事故対策を要求する。これにより、浜岡原発での工期は従来の13年末から15年3月に延長となった。対象は3、4号機で、最新・最大の5号機は原子炉への海水流入問題への対応とより強固な地震対策を行う必要があり、完了時期は未定だ。
防波壁以外にも様々な対策が進められている。具体的には、1)津波が防波壁を超え敷地に浸水した場合でも、建屋内への浸水を防ぐために扉を二重化し、内側に水密扉を設置、2)屋外にある海水取水ポンプが浸水により使えなくなった場合、同じ機能を持つポンプを防水構造の建屋内に設置、3)海抜40メートルの高台に発電機を設置し、代替電源を確保する―─などが含まれる。緊急時に原子炉格納容器内の圧力を下げるために排気する際に放射性物質を取り除くフィルター付きベント設備も設置する。
川勝知事は今月13日の記者会見で、中部電の経営判断や取り組みに対し、「安全を大事にしている点について高く評価している。原発を持っている9つの(地域)電力の中で最も良心的な取り組みをしている」などと持ち上げた。
<会派を超えて県民投票に賛意>
静岡県では6月に知事選挙が行わる。川勝知事に、自民党静岡県連が推薦する広瀬一郎氏らが挑む構図だ。「浜岡原発の再稼働は大きな争点にはなっていない」(地元メディア関係者)というが、中部電が対策工事を終える2年後に、再稼働の是非をどう判断するかは、県政の懸案になることが確実だ。
昨年、同県では浜岡原発再稼働の是非を問う住民投票条例の制定に向けて署名活動が行われ、約16万5000人の署名が集まった。県民の声に押され川勝知事が昨年9月、県議会に条例案を提案したものの、最大会派の自民改革会議(自民党静岡県議会会派)などの反対により否決された。
天野一・静岡県議(自民改革会議代表)はロイターの取材で、反対した理由について、「中部電力の災害対策の結果を検証しないで判断するのは失礼だ」と説明したものの、県民投票については、「原発のような未来に大きな影響を与えることでは、やってもいいと思っている」と明言した。
田内浩之・県議(民主党・ふじの国県議団)も、浜岡再稼働に向けた県民投票は必要と強調。仮に同投票が行われた場合、「いまの流れなら(再稼働は)否決になるだろう」と述べた。6月の知事選は「川勝氏優勢」(前出の地元メディア関係者)との観測で、再選ならば、川勝氏が県民投票を再提案するとみられる。投票結果に法的拘束力はないが、仮に再稼働に対して「ノー」が突きつけられた場合、中部電がその声を無視することは難しく、廃炉が現実味を帯びるというシナリオも否定できない。
<県内の市町は反対・懐疑意見が多数>
ロイターはこのほど、防災対策が求められる緊急時防護措置区域(UPZ)の対象となる、浜岡原発から半径30キロ圏の11市町に再稼働についてアンケートを実施した。反対は、牧之原市、吉田町、磐田市の3市町。懐疑的な意見を示したのが、菊川市、森町、掛川市、藤枝市、袋井市の5市町。 焼津市は「明確な考えを示すのは難しい」としている。
容認度が高い回答を寄せたのが、御前崎市と島田市。御前崎市は、工事途上などを理由に、「再稼働は議論の段階ではない」としながらも「原子力を動かさない場合のコスト上昇などを議論すべき。原発はまだまだ必要だ」と回答。島田市は、「県と、中部電と安全協定を結んでいる4市(御前崎、牧之原、掛川、菊川)がOKなら当市もOK」とした。
反対理由としては、「東海地震の震源域であることや、周辺人口規模や産業蓄積の大きさを考えれば再稼働すべきではない」(牧之原市)、「安全・安心を担保されるか不透明感がある」(磐田市)とある。懐疑意見も、「町民の理解を得ることは現段階では難しい」(森町)、「国が安全と判断しても、市民の理解が得られない限り再稼働は認めない」(菊川市)、「将来にわたり安全・安心が確保されなければ運転できないものと考えている」(掛川市)などと、厳しい内容が多い。
中部電は、11市町の反応に対して「安全性を一層向上させ、地元をはじめ社会の安心につながるよう全力で取り組む」とコメントしている。
(ロイターニュース、浜田健太郎;編集 宮崎亜巳)
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去年の7月に総務委員会で浜岡原発に視察した際に、
中電の担当者の方に
排気塔のフィルターを設置するのかどうか質問したら、
その時は、
検討はしているが、金額も高く外国製でまだ予算化していないと話していた。
その時は、工事費用が1,400億円と言っていたけど
あれから防波壁のかさ上げなどでさらに増額となっているだろう。
2年後に住民投票をやるにしろ、
その前にUPZ圏の首長や議会がどう判断するかが前提であり、
UPZ圏の首長や議会が反対していれば、
他の県民が軽々に再稼働すべきとか言えるものではない。
Posted by 清水町議会議員 松浦俊介 at 12:00
│エネルギー・原子力