2015年06月26日

<所沢育休退園問題>待機児童と板挟み…悩む自治体 

下記、25日の埼玉新聞、26日の産経新聞

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育休で退園「違法」 保護者ら11人、所沢市を提訴
埼玉新聞 6月25日(木)22時52分配信

 第2子以降を出産した母親が育児休業を取得した場合に保育園に通う0~2歳の上の子を原則退園させる所沢市の方針は、女性の社会進出を阻み、子ども・子育て支援法などに違反するとして、同市の保護者8世帯11人が25日、市を相手取り退園の差し止めを求める行政訴訟をさいたま地裁に起こした。原告の母親らは「少子化を食い止め、働く女性を支援する流れに逆行する制度」と批判している。

 原告は判決が出るまで、退園の仮差し止めも申し立てた。

 市は3月、待機児童を減らすことなどを目的として「育休退園」制度を保育園を通じて周知。4月から運用を始めた。この制度によると、母親が育休を取得した場合、出産後翌々月末に、0~2歳の上の子は保育園を退園しなければならない。4月に出産した場合は、今月末にも上の子が退園することになる。

 原告は訴状で、子ども・子育て支援法、児童福祉法改正を保護者の育児休業取得を促す改正と強調。市の対応に対して「原則と例外を逆転させ、保護者・所沢市間の議論や法改正の趣旨を理解しない驚くべき制度改悪」と批判した。待機児童を減らすという市の姿勢についても「退園に追いやられる児童は待機児童に計上されない。待機児童を見掛けの上で減少させるものにすぎない」としている。

 提訴後、都内厚労相で記者会見した原告らは、市の新制度に不満をあらわにした。

 原和良弁護士は「自分の子どもの問題だけではなく、少子化に逆行する政策を取られることで、日本中の保護者、子どもたちが犠牲になる」と提訴の意義を説明した。

 5月に第3子を出産し、第2子の退園が7月末に迫る原告の女性(37)は「この制度によってもう一人産もうと思っても産めない、安心して働けない、そうした環境をつくることになる。少子化対策や働く女性の支援をするという流れに逆行している」と訴えた。

 藤本正人市長は「市として文章をいただいていないので何とも申し上げることができない」とコメントを出した。


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所沢育休訴訟 在園児の扱い「議論を」 「継続」×「1歳」ばらつき
産経新聞 6月26日(金)7時55分配信

 所沢市の保育園児の保護者11人が25日、市に対して退園の差し止めを求めた訴訟では、第2子以降の育児休業中に在園児の扱いをどうするかが各自治体の裁量に委ねられていることに焦点が当たった。県内の市町村でも扱いにはばらつきがあり、自治体の担当者からは「これを機に『子ども・子育て支援法施行規則』運用に関する議論が尽くされれば」と期待する声も聞かれた。(菅野真沙美、川峯千尋)

 ◆「職場復帰前提」

 さいたま市、入間市、坂戸市などでは、保護者が育休を取得した場合にも一定の条件下で通園の継続が可能とされている。通園可能な期間は、さいたま市は「満1歳の誕生日を迎える年度末まで」、入間市は「1歳になった月末まで」、坂戸市は「1歳の誕生日の前日まで」。

 さいたま市保育課は「保護者の再入園手続の負担や、環境の変化による子供たちへの影響に配慮している」と話す。

 戸田市や草加市、秩父市などでは、育休を取得した場合でも保護者の希望があれば通園を継続させる。草加市保育課は4月からの「子ども・子育て支援新制度」開始前から同様の対応をしており、「育休を取る保護者は職場復帰が前提の方が多いので、このような制度運用を行っている」と説明している。

 ◆複雑な思い

 一方、「下の子供の育休を取得すれば0~2歳の園児は原則退園」という運用を始めた所沢市。看護師の仕事を続けながら1歳と3歳の男児を保育園に預けている同市の女性(38)は、「保育園にいればママ友達に悩み相談したりできるけれど、退園後に同じ保育園に戻れる保証もないし、つながりもなくなってしまうのは不安」と話す。会社員の女性(32)は「出産で会社の風当たりが強い上に、市も母親の味方をしてくれない。女性の社会進出どころか、少子化を進めるだけの政策だと思う」と憤った。

 これに対し、ある市の保育行政担当者は「訴えを起した保護者の考えは理解できる」とした上で、「希望する園に入れない待機児童の保護者の実情を知っているので、複雑な思いを抱く職員がいるのは事実だ」とし、「この機会に運用に関する議論が尽くされればいい。今回の訴訟には大変注目している」と話した。

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待機児童と板挟み…悩む自治体 所沢育休退園問題
産経新聞 6月26日(金)7時55分配信

 厚生労働省によると、育児休業中の保育園児に関する一律の規定はなく、自治体ごとに運用は異なる。

 市民団体「保育園を考える親の会」(東京都豊島区)が、政令市や首都圏の市区の全国計100自治体を対象に平成26年4月に行った調査によると、所沢市と同様に「育休中は原則、退園」としていたのは、神奈川県平塚▽同県鎌倉▽千葉県八千代▽静岡▽堺▽岡山▽熊本-の計7市だった。

 岡山市では退園児童の年齢を「0~4歳」としており、担当者は「厚労省の通知を厳密に運用している。再入園の際は入園選考の基準点を加算するなど、配慮している」と話す。

 厚労省は14年、「就学を控えた5歳児や、子供の発達上、環境の変化が好ましくない場合は継続して在園して差し支えない」と通知。4月に始まった国の「子ども・子育て支援新制度」の運用に関しても同様の通知を出した。ただ、自治体ごとに実情が異なり「具体的な運用は各自治体の判断」(厚労省保育課)としている。

 岡山市の担当者は「地裁の判断によっては運用を変更する可能性もある。国は統一的な解釈を行き渡らせてほしい」と注文を付けた。

 退園児童を「0~2歳」とする堺市の担当者は「2人目を産んだ保護者だけでなく、待機児童の保護者からも『なぜ家で保育できる親の子供を退園させないのか』と苦情が来る。窓口は板挟みだ」。熊本市の担当者は「待機児童とのバランスを考えれば、制限をなくすことは必ずしも平等とはいえない」と話した。

 一方、7市のうち鎌倉市は26年9月から、八千代市でも今年度から退園児童の制限を撤廃し、育休中も上の子が継続的に通園できることにした。「子育て支援の観点から」(鎌倉市)、「保護者の要望を受け総合的に判断」(八千代市)との理由という。

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担当課に確認したところ、
清水町は、6月1日現在で28人の待機児童がいるため、
育休の場合は、0~2歳の上の子を原則退園させている。

ただ、これまでにも待機児童がないときは、
育休中であっても継続して通園できるようにしたこともあったという。

また、仕事に復帰する際には、
もとの保育所・保育園に優先的に通園できるように配慮している。

結局は、待機児童が発生しないように保育所・保育園をどう整備していくかという問題であるが、
清水町は、来年度から小規模保育施設の設置や幼稚園の延長保育などの実施で、
改善していく計画である。



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Posted by 清水町議会議員 松浦俊介 at 14:26 │保育所・保育園・幼稚園

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