2015年03月27日
<ペット同行避難>平時の準備重要 「チップ装着も活用を」-県動物保護協など講座
下記、8日の静岡新聞
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ペット同行避難 平時の準備重要 「チップ装着も活用を」-県動物保護協など講座
2015/03/08 静岡新聞 朝刊
動物愛護管理法の改正に伴い、環境省が災害時に飼い主はペットと一緒に避難所に行く「同行避難」を原則とする指針を示して1年半が経過した。県は昨年6月に県の地域防災計画を改訂し、市町に住民への同行避難の周知を求めているが、浸透が課題になっている。「同行避難はしつけや食料の備蓄など日ごろの準備が必要」と、県動物保護協会などが自治体と協力して教室を開き、市民への理解を呼び掛けている。
県動物保護協会は県民への周知を図るために本年度から、県内各地の保健所や市と共催で、ペットの災害対策を重点にした犬猫の飼い方教室をスタートした。市民や動物ボランティアなどを対象に、講師に獣医師や動物愛護に携わるNPOなどを招き、同行避難の目的や専門家の観点からの心掛けなどを伝えている。これまでに裾野、三島、牧之原市など5カ所で開いた。浜松市獣医師会も2月、災害とペットや同行避難に関するセミナーを開催するなど動きが徐々に広がっている。
県動物保護協会が1月15日に沼津市内で開いた教室では、東部保健所の担当者が同行避難の目的について「飼い主が責任を持って管理するため。犬や猫が逃げた場合に人や財産に危害を及ぼすのを防ぐ」と説明した。ただ、「自宅に被害がない場合は、できるだけ自宅で過ごしてほしい」と強調した。
専門家の観点から「ペットとはぐれた場合に効果的」として、石井動物クリニック(清水町)の石井範芳獣医師が活用を勧めるのはマイクロチップの装着。直径2ミリ、長さ12ミリ程度の器具に情報を登録して、動物病院などで体内に埋め込む。専用の読み取り機をかざせば、飼い主が判明する仕組みで、石井獣医師は「災害以外でも効果を発揮する」と話す。
◇……………………◇
■同行避難 体制整備 市町で温度差
飼い主がペットと一緒に避難する「同行避難」の体制の整備に向け、県は本年度中の被災動物対応行動指針策定を目指している。
指針は、同行避難の実施▽同行避難受け入れ体制整備▽同行避難動物の収容・管理―の3点を軸に、市町への体制準備の協力を求める内容になる。
実際に避難所を運営する市町は体制整備への動きが見られるものの、取り組みには温度差がある。県衛生課によると、昨年3月時点で避難所運営マニュアルにペットの同行避難を盛り込んでいたのは、掛川や熱海、三島など5市にとどまる。三島市は市内の全避難所に飼育場所を設定するなど、具体的な対応策を示している。
ことし2月には、沼津市が地域防災計画を修正し、避難に同行する飼い主にペットフードなどの備蓄を求める内容を追加した。市の担当者は「地域の防災組織の方々と十分話し合って決めていくことが必要」と述べる。
◇……………………◇
■津波避難に“選択肢”を-池田浩敬・常葉大社会環境学部長
東日本大震災から4年近くが経過した。津波避難計画について県内の行政や住民の方々と話し合う中で、計画策定の難しさを改めて痛感している。
例えば住宅地において、地震が平日昼間に起こったとすると、頼りになる働き手や就学中の若者の世代は家や地域にはおらず、足の不自由な高齢者や障害者など避難行動要支援者の避難を助ける側の人員不足が強く懸念される。一方で、夜間に起こった場合は、要支援者を助ける側の家族がそろっている半面、就寝中で避難の開始が遅れたり、地震に伴う停電により暗闇の中での避難といった悪条件の中での避難を強いられる。
また、古い耐震基準で建てられた建物は、十分な耐震性が確保されていることが確認できないため、行政としては津波避難ビルに指定していない。しかし、そこに住む人達の中には敢えてリスクを冒して避難するより上階へ避難することを選択する人も多い。
東日本大震災の際、石巻市などでは自宅の2階に避難して助かった人がいる一方で、2階に避難しても家ごと流されて亡くなった方もいる。実際に次に来る地震がどういう時間帯に発生し、揺れの強さがどの程度で、自分の家や周りのビルが避難先に使えるのか否か、津波の浸水深はどの程度になるのか、といったことは「想定結果」はあっても多分に不確実性を有している。条件が違えば、逃げ方も違ってくる。
事前に耐震性が確認されていなくても揺れた後に無事であれば、当該建物の上階への避難は合理的であるが、無事である保証はない。避難計画に“決め打ち”は危険である。柔軟な発想に基づき起こりうる状況を想定し、地域でよく話し合いそれらに対応した複数の“選択肢”を持っておくことが重要である。
▽いけだ・ひろたか
三菱総合研究所主任研究員、富士常葉大(現・常葉大)環境防災学部教授を経て、2011年4月から社会環境学部長(社会災害研究センター長兼任)。専門は都市防災、災害復興計画論など。54歳。
◇……………………◇
■わが町の自主防リーダー=女性目線で対策強化-裾野市茶畑・中山あい子さん
裾野市には、専門知識を生かして防災の指導に当たる地域地震防災指導員がいます。市独自の取り組みで、退職自衛官や元消防団員などが、勉強会を重ねながら地域ごとの自主防災組織と共に訓練の充実を図っています。
40人余りの指導員のうち女性は7人。救急蘇生法や応急手当ての指導のほか、女性の目で見た避難所運営の検討などに力を発揮しています。防災力強化には、女性や子どもも巻き込み、日ごろから地域のつながりを強化していくことが重要です。
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災害時に学校などの広域避難所に町民の方が避難してきた場合、
避難所の運営は、自主防災会や学校関係者で運営委員会を作り、
ペット等についてもその対応を考える。
ペットについては、校庭に避難していただくようになると思われる。
町は、さまざまな業者と災害応援協定を締結しているが、
災害時に活動する動物ボランティアなどもあるので、
そうした団体やペット業者と事前に何ができるか、
どういう準備をしておくべきか調査しておく必要があると思われる。
○災害時におけるペットの救護対策ガイドライン(環境省)
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506.html
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ペット同行避難 平時の準備重要 「チップ装着も活用を」-県動物保護協など講座
2015/03/08 静岡新聞 朝刊
動物愛護管理法の改正に伴い、環境省が災害時に飼い主はペットと一緒に避難所に行く「同行避難」を原則とする指針を示して1年半が経過した。県は昨年6月に県の地域防災計画を改訂し、市町に住民への同行避難の周知を求めているが、浸透が課題になっている。「同行避難はしつけや食料の備蓄など日ごろの準備が必要」と、県動物保護協会などが自治体と協力して教室を開き、市民への理解を呼び掛けている。
県動物保護協会は県民への周知を図るために本年度から、県内各地の保健所や市と共催で、ペットの災害対策を重点にした犬猫の飼い方教室をスタートした。市民や動物ボランティアなどを対象に、講師に獣医師や動物愛護に携わるNPOなどを招き、同行避難の目的や専門家の観点からの心掛けなどを伝えている。これまでに裾野、三島、牧之原市など5カ所で開いた。浜松市獣医師会も2月、災害とペットや同行避難に関するセミナーを開催するなど動きが徐々に広がっている。
県動物保護協会が1月15日に沼津市内で開いた教室では、東部保健所の担当者が同行避難の目的について「飼い主が責任を持って管理するため。犬や猫が逃げた場合に人や財産に危害を及ぼすのを防ぐ」と説明した。ただ、「自宅に被害がない場合は、できるだけ自宅で過ごしてほしい」と強調した。
専門家の観点から「ペットとはぐれた場合に効果的」として、石井動物クリニック(清水町)の石井範芳獣医師が活用を勧めるのはマイクロチップの装着。直径2ミリ、長さ12ミリ程度の器具に情報を登録して、動物病院などで体内に埋め込む。専用の読み取り機をかざせば、飼い主が判明する仕組みで、石井獣医師は「災害以外でも効果を発揮する」と話す。
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■同行避難 体制整備 市町で温度差
飼い主がペットと一緒に避難する「同行避難」の体制の整備に向け、県は本年度中の被災動物対応行動指針策定を目指している。
指針は、同行避難の実施▽同行避難受け入れ体制整備▽同行避難動物の収容・管理―の3点を軸に、市町への体制準備の協力を求める内容になる。
実際に避難所を運営する市町は体制整備への動きが見られるものの、取り組みには温度差がある。県衛生課によると、昨年3月時点で避難所運営マニュアルにペットの同行避難を盛り込んでいたのは、掛川や熱海、三島など5市にとどまる。三島市は市内の全避難所に飼育場所を設定するなど、具体的な対応策を示している。
ことし2月には、沼津市が地域防災計画を修正し、避難に同行する飼い主にペットフードなどの備蓄を求める内容を追加した。市の担当者は「地域の防災組織の方々と十分話し合って決めていくことが必要」と述べる。
◇……………………◇
■津波避難に“選択肢”を-池田浩敬・常葉大社会環境学部長
東日本大震災から4年近くが経過した。津波避難計画について県内の行政や住民の方々と話し合う中で、計画策定の難しさを改めて痛感している。
例えば住宅地において、地震が平日昼間に起こったとすると、頼りになる働き手や就学中の若者の世代は家や地域にはおらず、足の不自由な高齢者や障害者など避難行動要支援者の避難を助ける側の人員不足が強く懸念される。一方で、夜間に起こった場合は、要支援者を助ける側の家族がそろっている半面、就寝中で避難の開始が遅れたり、地震に伴う停電により暗闇の中での避難といった悪条件の中での避難を強いられる。
また、古い耐震基準で建てられた建物は、十分な耐震性が確保されていることが確認できないため、行政としては津波避難ビルに指定していない。しかし、そこに住む人達の中には敢えてリスクを冒して避難するより上階へ避難することを選択する人も多い。
東日本大震災の際、石巻市などでは自宅の2階に避難して助かった人がいる一方で、2階に避難しても家ごと流されて亡くなった方もいる。実際に次に来る地震がどういう時間帯に発生し、揺れの強さがどの程度で、自分の家や周りのビルが避難先に使えるのか否か、津波の浸水深はどの程度になるのか、といったことは「想定結果」はあっても多分に不確実性を有している。条件が違えば、逃げ方も違ってくる。
事前に耐震性が確認されていなくても揺れた後に無事であれば、当該建物の上階への避難は合理的であるが、無事である保証はない。避難計画に“決め打ち”は危険である。柔軟な発想に基づき起こりうる状況を想定し、地域でよく話し合いそれらに対応した複数の“選択肢”を持っておくことが重要である。
▽いけだ・ひろたか
三菱総合研究所主任研究員、富士常葉大(現・常葉大)環境防災学部教授を経て、2011年4月から社会環境学部長(社会災害研究センター長兼任)。専門は都市防災、災害復興計画論など。54歳。
◇……………………◇
■わが町の自主防リーダー=女性目線で対策強化-裾野市茶畑・中山あい子さん
裾野市には、専門知識を生かして防災の指導に当たる地域地震防災指導員がいます。市独自の取り組みで、退職自衛官や元消防団員などが、勉強会を重ねながら地域ごとの自主防災組織と共に訓練の充実を図っています。
40人余りの指導員のうち女性は7人。救急蘇生法や応急手当ての指導のほか、女性の目で見た避難所運営の検討などに力を発揮しています。防災力強化には、女性や子どもも巻き込み、日ごろから地域のつながりを強化していくことが重要です。
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災害時に学校などの広域避難所に町民の方が避難してきた場合、
避難所の運営は、自主防災会や学校関係者で運営委員会を作り、
ペット等についてもその対応を考える。
ペットについては、校庭に避難していただくようになると思われる。
町は、さまざまな業者と災害応援協定を締結しているが、
災害時に活動する動物ボランティアなどもあるので、
そうした団体やペット業者と事前に何ができるか、
どういう準備をしておくべきか調査しておく必要があると思われる。
○災害時におけるペットの救護対策ガイドライン(環境省)
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506.html