2012年03月19日
「地震・原発・防災に関する中日新聞・静岡大 共同調査」
下記、13日の中日新聞
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中日新聞・静岡大 共同調査
2012年3月13日 中日新聞
東日本大震災を受けて、静岡県民の九割近くが自分が大地震で死傷するかもしれないと不安に感じていることが、中日新聞と静岡大が共同で実施した地震防災に関する意識調査で分かった。30年以内の発生確率が88%とされる東海地震に強い警戒感を抱いている様子が裏付けられた。
県民の9割「死傷の不安」
東海地震 強まる警戒
大地震で死傷する恐れは、県民の39%が「大いに感じる」、50%が「ある程度感じる」と答え、合わせると89%に上った。東海地震に不安を感じる人は96%に達し、中でも「大いに感じる」は昨年の県民調査より8ポイント増えて6割を超えた。
地震の揺れで心配な点を複数回答で聞いたところ、建物の損壊、火災、家具や家電の転倒に続いて、津波、原発事故が上位に挙がった。大震災の被害の深刻さから、地震に津波、原発事故が重なる複合災害への危機意識がうかがえる。
地震への備えは、避難場所の確認、食料や水の備蓄、持ち出し袋の準備の順で多かった。昨年調査と比べると、食料備蓄が56%と14ポイント増加した一方、住宅の耐震化は8ポイント減少し、災害伝言サービスが使える、家具の転倒防止は横ばいだった。
また96%が地震後に家族の安否が心配だと答えながら、家族と緊急連絡方法を確認しているのは34%にとどまった。高まる危機感を防災の取り組みにどう結び付けるかが、今後の課題になりそうだ。
調査は今年2月、県内の有権者2000人と議員769人は郵送で、35市町の各首長には手渡しで行った。
浜岡再稼働 21首長否定的
「国の問題」判断留保も
昨年5月に政府の要請で全面停止した中部電力浜岡原発(御前崎市)。再稼働に向け中電が安全対策を進める中、本紙と静岡大の共同調査では、県内35市町のうち6割に当たる21市町の首長が運転再開に否定的な見方を示した。廃炉や永久停止は11市町に上る。一方で「国が決める問題」として判断を留保する首長も目立ち、足並みはそろわない。住民の安全と国策の間で苦慮する姿が浮かぶ。
原発から半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に入る11市町で見ると、再稼働に理解を示したのは、地元御前崎市の石原茂雄市長のみ。8市町は、東海地震の震源域にある危険性や使用済み燃料への不安を理由に再稼働に否定的で、うち2市町は永久停止や廃炉を求めた。
茶産地として知られる掛川市の松井三郎市長は、再稼働反対の理由に使用済み燃料への不安を挙げ「将来にわたり安全安心が確保できなければ再稼働は認められない」と説明。立地する御前崎市の石原市長は、徹底した安全対策と国の厳しい審査を条件に「住民の理解を得て政策として進めていくべきだ」と再稼働を容認する姿勢を見せた。
30キロ圏外では、観光地を抱えシイタケ栽培も盛んな伊豆地方の自治体の約半数が、廃炉や永久停止を求めた。県東部も昨年東京電力の計画停電を経験しながら再稼働には否定的。政令市は影響の大きさを考慮してか、静岡市の田辺信宏市長、浜松市の鈴木康友市長とも明確な判断を避けた。
「東海地震の震源域という危険度の高い場所にある。永久停止に向けて努力すべきだ」と主張するのは富士宮市の須藤秀忠市長。清水町の山本博保町長は「住民への被害の可能性がある限り停止すべきだが、電力需給を考えると再稼働もやむを得ない」と答えた。
県民78% 脱原発支持
原発の今後について尋ねた自由記述では、脱原発を目指して再生可能エネルギーへの移行を望む考えが目立った。焼津市の清水泰市長は「原発の安全神話が崩れ、科学の限界が露呈した。福島の除染は困難を極めており、原発依存のエネルギー政策から脱却すべきだ」と指摘。富士市の鈴木尚市長は「限りある資源エネルギーから新エネルギーに変えるべきだ」と主張した。
原発に関する設問では、県民の78%、議員の91%も「少しずつ減らす」「ただちにやめる」と脱原発を支持。浜岡原発の全面停止については、県民の86%、議員の81%が「大変よかった」「ある程度よかった」と歓迎した。
「原発事故が起きると思っていたか」との問いに対しては、首長の46%が「起きないと思っていた」と回答。安全神話を信じて疑わず、想定外だったことがうかがえる。県民は56%が「考えたことがなかった」と答え、事故前は無関心だったことが分かった。
中電は防波壁の設置、非常電源の確保、冷却水取水源の多様化など、30項目に及ぶ津波対策に取り組んでいる。こうした安全対策に対し、「十分」と答えたのは7%で、45%が「不十分」とした。半数近くの47%は「分からない」。県民の信頼と理解を得るには高い壁がありそうだ。
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自分もアンケートに答えた。
浜岡原発については、廃炉、
日本の原発については少しずつ減らしていくべきだと考える。
浜岡原発から20~30km圏で
「緊急防護措置区域(UPZ)」に入る吉田町議会は、
去年の12月議会で浜岡原発の廃炉を
求める意見書と決議書を全会一致で可決した。
その他の牧之原市などの周辺自治体も永久停止などの
決議を行なっている。
原発立地により直接的な経済的な恩恵を受けるわけでもなく、
どちらかといえば企業の転出が検討されている。
万が一、福島のような状況が起きれば、
立地自治体同様の大打撃を受ける危険性が高い。
2月に議会運営委員会で東海村へ視察したが、
周辺自治体の取手市や北茨木市、土浦市などの議会でも
原発の永久停止や廃炉の陳情が採択されており、
隣接する那珂市は
「事故があれば深刻な事態に陥る、
福島の炉心溶融の原因もはっきりしない現時点では容認できない」としている。
日立市長も「廃炉にする方向なのだと思う」と発言している。
こうしたUPZ圏の周辺自治体の懸念は全国的にあるだろうと推察できる。
原発再稼働へ向けて周辺自治体の首長・議会・住民の
合意形成を得るのは極めて難しいと思うし、
UPZ圏の合意を得ることなく、
再稼働すべきと軽々に言えるものではない。
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中日新聞・静岡大 共同調査
2012年3月13日 中日新聞
東日本大震災を受けて、静岡県民の九割近くが自分が大地震で死傷するかもしれないと不安に感じていることが、中日新聞と静岡大が共同で実施した地震防災に関する意識調査で分かった。30年以内の発生確率が88%とされる東海地震に強い警戒感を抱いている様子が裏付けられた。
県民の9割「死傷の不安」
東海地震 強まる警戒
大地震で死傷する恐れは、県民の39%が「大いに感じる」、50%が「ある程度感じる」と答え、合わせると89%に上った。東海地震に不安を感じる人は96%に達し、中でも「大いに感じる」は昨年の県民調査より8ポイント増えて6割を超えた。
地震の揺れで心配な点を複数回答で聞いたところ、建物の損壊、火災、家具や家電の転倒に続いて、津波、原発事故が上位に挙がった。大震災の被害の深刻さから、地震に津波、原発事故が重なる複合災害への危機意識がうかがえる。
地震への備えは、避難場所の確認、食料や水の備蓄、持ち出し袋の準備の順で多かった。昨年調査と比べると、食料備蓄が56%と14ポイント増加した一方、住宅の耐震化は8ポイント減少し、災害伝言サービスが使える、家具の転倒防止は横ばいだった。
また96%が地震後に家族の安否が心配だと答えながら、家族と緊急連絡方法を確認しているのは34%にとどまった。高まる危機感を防災の取り組みにどう結び付けるかが、今後の課題になりそうだ。
調査は今年2月、県内の有権者2000人と議員769人は郵送で、35市町の各首長には手渡しで行った。
浜岡再稼働 21首長否定的
「国の問題」判断留保も
昨年5月に政府の要請で全面停止した中部電力浜岡原発(御前崎市)。再稼働に向け中電が安全対策を進める中、本紙と静岡大の共同調査では、県内35市町のうち6割に当たる21市町の首長が運転再開に否定的な見方を示した。廃炉や永久停止は11市町に上る。一方で「国が決める問題」として判断を留保する首長も目立ち、足並みはそろわない。住民の安全と国策の間で苦慮する姿が浮かぶ。
原発から半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に入る11市町で見ると、再稼働に理解を示したのは、地元御前崎市の石原茂雄市長のみ。8市町は、東海地震の震源域にある危険性や使用済み燃料への不安を理由に再稼働に否定的で、うち2市町は永久停止や廃炉を求めた。
茶産地として知られる掛川市の松井三郎市長は、再稼働反対の理由に使用済み燃料への不安を挙げ「将来にわたり安全安心が確保できなければ再稼働は認められない」と説明。立地する御前崎市の石原市長は、徹底した安全対策と国の厳しい審査を条件に「住民の理解を得て政策として進めていくべきだ」と再稼働を容認する姿勢を見せた。
30キロ圏外では、観光地を抱えシイタケ栽培も盛んな伊豆地方の自治体の約半数が、廃炉や永久停止を求めた。県東部も昨年東京電力の計画停電を経験しながら再稼働には否定的。政令市は影響の大きさを考慮してか、静岡市の田辺信宏市長、浜松市の鈴木康友市長とも明確な判断を避けた。
「東海地震の震源域という危険度の高い場所にある。永久停止に向けて努力すべきだ」と主張するのは富士宮市の須藤秀忠市長。清水町の山本博保町長は「住民への被害の可能性がある限り停止すべきだが、電力需給を考えると再稼働もやむを得ない」と答えた。
県民78% 脱原発支持
原発の今後について尋ねた自由記述では、脱原発を目指して再生可能エネルギーへの移行を望む考えが目立った。焼津市の清水泰市長は「原発の安全神話が崩れ、科学の限界が露呈した。福島の除染は困難を極めており、原発依存のエネルギー政策から脱却すべきだ」と指摘。富士市の鈴木尚市長は「限りある資源エネルギーから新エネルギーに変えるべきだ」と主張した。
原発に関する設問では、県民の78%、議員の91%も「少しずつ減らす」「ただちにやめる」と脱原発を支持。浜岡原発の全面停止については、県民の86%、議員の81%が「大変よかった」「ある程度よかった」と歓迎した。
「原発事故が起きると思っていたか」との問いに対しては、首長の46%が「起きないと思っていた」と回答。安全神話を信じて疑わず、想定外だったことがうかがえる。県民は56%が「考えたことがなかった」と答え、事故前は無関心だったことが分かった。
中電は防波壁の設置、非常電源の確保、冷却水取水源の多様化など、30項目に及ぶ津波対策に取り組んでいる。こうした安全対策に対し、「十分」と答えたのは7%で、45%が「不十分」とした。半数近くの47%は「分からない」。県民の信頼と理解を得るには高い壁がありそうだ。
****************
自分もアンケートに答えた。
浜岡原発については、廃炉、
日本の原発については少しずつ減らしていくべきだと考える。
浜岡原発から20~30km圏で
「緊急防護措置区域(UPZ)」に入る吉田町議会は、
去年の12月議会で浜岡原発の廃炉を
求める意見書と決議書を全会一致で可決した。
その他の牧之原市などの周辺自治体も永久停止などの
決議を行なっている。
原発立地により直接的な経済的な恩恵を受けるわけでもなく、
どちらかといえば企業の転出が検討されている。
万が一、福島のような状況が起きれば、
立地自治体同様の大打撃を受ける危険性が高い。
2月に議会運営委員会で東海村へ視察したが、
周辺自治体の取手市や北茨木市、土浦市などの議会でも
原発の永久停止や廃炉の陳情が採択されており、
隣接する那珂市は
「事故があれば深刻な事態に陥る、
福島の炉心溶融の原因もはっきりしない現時点では容認できない」としている。
日立市長も「廃炉にする方向なのだと思う」と発言している。
こうしたUPZ圏の周辺自治体の懸念は全国的にあるだろうと推察できる。
原発再稼働へ向けて周辺自治体の首長・議会・住民の
合意形成を得るのは極めて難しいと思うし、
UPZ圏の合意を得ることなく、
再稼働すべきと軽々に言えるものではない。
Posted by 清水町議会議員 松浦俊介 at 23:24
│地震・災害