2021年02月07日
<石川雄洋>(内野手/元DeNA)道が険しいことは承知も「燃え尽きていないことに驚いた」【リスタートを切る男たち】
下記、昨日の週刊ベースボール
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石川雄洋(内野手/元DeNA)道が険しいことは承知も「燃え尽きていないことに驚いた」【リスタートを切る男たち】
2/6(土) 10:00配信 週刊ベースボール
横浜・DeNAで16年間、プレーした石川雄洋。昨季限りで戦力外通告を受けたが、まだ燃えたぎる思いは消えなかった。静岡で続けた孤独な自主トレ。吉報を待つ日々は果たして――。
大きかった退団の反響
静寂に包まれた室内で鋭い打球音が響き渡る。元DeNAの石川雄洋は他球団から声をかけられる可能性を信じ、1月は静岡県内で自主トレを続けていた。
「悔いは残したくないので、いつ呼ばれてもいいように準備だけは万全にしておきたい。体の状態はいいです。野球をやめた後のことは考えていません。最後までやり切って、その後に決めればいいですから」
横浜・DeNAで16年間プレーした。通算1003安打を積み上げ、DeNAの初代キャプテンを務めた。野手最年長となりチームの精神的支柱だったが、昨季は一軍出場なしに終わり、戦力構想から外れていることを通告された。
「この年齢(34歳)で1試合も出ていないので覚悟はしていました。シーズン中は『一軍に上がるかな?』と期待したタイミングもありましたが、こればかりはチーム事情もあるので仕方ないです。DeNAには感謝の思いでいっぱいです。自分よりうまい選手はたくさんいたのに、歴代の監督に使っていただいた。高卒でプロに入団したときはレベルの違いに愕然(がくぜん)として、16年間もプレーできると思わなかったですから」
退団の反響は大きく、連絡が次々に来た。2019年に巨人から加入し、2年間ともにプレーした中井大介からは「僕がベイスターズに入ったときに食事に誘っていただいたり、(球場の)ロッカーで話しかけていただいたおかげでチームになじむことができました。来年もタケさんとグラウンドで顔を合わせられるように僕も精進します」とLINEで長文の文章が送られてきた。山崎康晃、今永昇太と球場の施設で会った際は長い時間話した。「中井もそうだし、康晃、今永もいい子だから心配してくれましたが、僕のことなんていいですよ。湿っぽく別れたくないんですよね。康晃と今永には直接会ったので頑張れよと伝えました。球団の未来を背負う選手ですから活躍してもらわないと」と後輩への愛情を口にする。
チームメートだけではない。横浜高の同級生・涌井秀章(楽天)から今後について気にかける連絡が来た。DeNAでともにプレーした横浜高の後輩・筒香嘉智(レイズ)からもすぐに電話が。兄と慕う坂口智隆(ヤクルト)からは「うれしい思い、悔しい思い、いろいろな感情があると思うけど、次があると思って野球人生につないでほしい。いつでも応援しとる」と激励のメッセージが来た。
「ワク(涌井)、ゴー(筒香)、グッチさん(坂口)もそうだし、いろいろな人に気にかけてもらって。自分が逆の立場だったら同じことができるかと考えてしまう。本当にありがたいです」。感謝の思いがあふれ、声が上ずった。
ひたすら練習に没頭
実はDeNA退団が決まったとき、「現役引退に90パーセント以上心が決まっていた」という。だが、部屋にこもって3日、1週間経つと心の奥底の思いに気づいた。
「まだ野球をやりたいなって……。燃え尽きていないことに自分で驚きました。あとはイースタンの最終戦が大きかったのかもしれません」
退団がメディアで報じられ、イースタン・リーグ最終戦となった10月29日の西武戦(横須賀)。バックネット裏、内野席は石川のユニフォーム、タオルを持った観客が詰めかけた。6回から途中出場すると、1点を追う9回に先頭打者で12球粘って四球で出塁。同点のホームを踏んだ。2点差を追いかける10回一死一、三塁でも再び11球粘って四球で出塁。逆転サヨナラ勝ちでホームを踏んだ。その試合後、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、入場制限で球場に入れなかった一部のファンが球場の外に待機して石川の様子を気にしていたことを、知り合いから聞かされた。
「僕がレギュラーだったときはなかなかチームを勝たせられず、DeNAファンには申し訳ない思いがあるんです。それなのに、ファームの試合に応援に来ていただいたり、球場に入れないのに寒い中で僕の帰りを待ってくれている方たちがいて……」と複雑な表情を浮かべて続けた。「このままやめて本当にいいのかなと。応援してくれるファンに、もう一度グラウンドでプレーしている姿を見せたいと思って。可能性は低いかもしれないけど直接お礼を言いたい」と引退に固まりつつあった思いから一転、現役続行を決断した。
その道が険しいことは重々承知している。34歳のベテランに他球団から声がかかる可能性は決して高くない。だが、現役続行を決断した以上、雑念を振り払って練習に没頭した。1月の自主トレでは午前6時のランニングから始まり、朝食後に短距離、中距離ダッシュのほか、下半身強化の自重トレーニングを10種類以上こなす。午後からは守備練習、ティー、マシンを使った打撃練習。寒さで室内練習場の温度は氷点下になることもあったが、体から湯気を出して大粒の汗が流れる。マスク越しの息遣いは荒い。午後6時近くに練習場を引き上げると、体のメンテナンスを行う。夕食を取って午後10時過ぎには就寝。6勤1休の生活で、休みの日も体のケアに多くの時間を割いた。
自主トレに同行している丸山和也トレーナーは石川の体を10年以上見てきた。「決して若くないので、一つのトレーニングやメンテナンスにかける時間は昔より長くなっています。でも、人間は慣れると少し抜いたり、効率性を求めて新しいことに飛びついたりするんです。実際にそういう選手を多く見てきました。でも、タケは決して妥協せず地道なメニューを丁寧にこなす。器用なタイプでないかもしれないけど、横着しなかったからこそプロの世界で長くできているのだと思います」
多くの選手の個人トレーナーとして心身のケアに務めてきた。その中で所属先が決まっていないにもかかわらず、例年どおり1月の自主トレで自分を追い込む石川の姿に感銘を受けたという。「口にしないけど、不安は絶対にあると思うんです。でも弱音を吐かず、やるべきことをしっかりやる。なかなかできることではないと思いますし、年下ですけど尊敬します。今までも何度も逆境からはい上がる姿を見てきました。野球を続けられるチャンスを与えてほしいです」と思いを口にした。
2月に入り、静岡から関東に戻った。コロナ禍であることも影響し、練習する環境が定まっているわけではない。昨年までは春季キャンプ地の沖縄で体を動かしてきただけに、不便に感じるときも当然あるはずだ。だが、弱音は吐かない。
「コロナの状況で僕より大変な方たちはたくさんいるし、ストレスは感じない。今は最善の準備を尽くすだけです」
決断の時は近づいている。そのときまで誠心誠意、野球と向き合う。
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石川選手、選手として続けられればいいけど、
所属先が決まらなかった場合、オープン戦で一日限定契約の引退試合とかもあるのかな。
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石川雄洋(内野手/元DeNA)道が険しいことは承知も「燃え尽きていないことに驚いた」【リスタートを切る男たち】
2/6(土) 10:00配信 週刊ベースボール
横浜・DeNAで16年間、プレーした石川雄洋。昨季限りで戦力外通告を受けたが、まだ燃えたぎる思いは消えなかった。静岡で続けた孤独な自主トレ。吉報を待つ日々は果たして――。
大きかった退団の反響
静寂に包まれた室内で鋭い打球音が響き渡る。元DeNAの石川雄洋は他球団から声をかけられる可能性を信じ、1月は静岡県内で自主トレを続けていた。
「悔いは残したくないので、いつ呼ばれてもいいように準備だけは万全にしておきたい。体の状態はいいです。野球をやめた後のことは考えていません。最後までやり切って、その後に決めればいいですから」
横浜・DeNAで16年間プレーした。通算1003安打を積み上げ、DeNAの初代キャプテンを務めた。野手最年長となりチームの精神的支柱だったが、昨季は一軍出場なしに終わり、戦力構想から外れていることを通告された。
「この年齢(34歳)で1試合も出ていないので覚悟はしていました。シーズン中は『一軍に上がるかな?』と期待したタイミングもありましたが、こればかりはチーム事情もあるので仕方ないです。DeNAには感謝の思いでいっぱいです。自分よりうまい選手はたくさんいたのに、歴代の監督に使っていただいた。高卒でプロに入団したときはレベルの違いに愕然(がくぜん)として、16年間もプレーできると思わなかったですから」
退団の反響は大きく、連絡が次々に来た。2019年に巨人から加入し、2年間ともにプレーした中井大介からは「僕がベイスターズに入ったときに食事に誘っていただいたり、(球場の)ロッカーで話しかけていただいたおかげでチームになじむことができました。来年もタケさんとグラウンドで顔を合わせられるように僕も精進します」とLINEで長文の文章が送られてきた。山崎康晃、今永昇太と球場の施設で会った際は長い時間話した。「中井もそうだし、康晃、今永もいい子だから心配してくれましたが、僕のことなんていいですよ。湿っぽく別れたくないんですよね。康晃と今永には直接会ったので頑張れよと伝えました。球団の未来を背負う選手ですから活躍してもらわないと」と後輩への愛情を口にする。
チームメートだけではない。横浜高の同級生・涌井秀章(楽天)から今後について気にかける連絡が来た。DeNAでともにプレーした横浜高の後輩・筒香嘉智(レイズ)からもすぐに電話が。兄と慕う坂口智隆(ヤクルト)からは「うれしい思い、悔しい思い、いろいろな感情があると思うけど、次があると思って野球人生につないでほしい。いつでも応援しとる」と激励のメッセージが来た。
「ワク(涌井)、ゴー(筒香)、グッチさん(坂口)もそうだし、いろいろな人に気にかけてもらって。自分が逆の立場だったら同じことができるかと考えてしまう。本当にありがたいです」。感謝の思いがあふれ、声が上ずった。
ひたすら練習に没頭
実はDeNA退団が決まったとき、「現役引退に90パーセント以上心が決まっていた」という。だが、部屋にこもって3日、1週間経つと心の奥底の思いに気づいた。
「まだ野球をやりたいなって……。燃え尽きていないことに自分で驚きました。あとはイースタンの最終戦が大きかったのかもしれません」
退団がメディアで報じられ、イースタン・リーグ最終戦となった10月29日の西武戦(横須賀)。バックネット裏、内野席は石川のユニフォーム、タオルを持った観客が詰めかけた。6回から途中出場すると、1点を追う9回に先頭打者で12球粘って四球で出塁。同点のホームを踏んだ。2点差を追いかける10回一死一、三塁でも再び11球粘って四球で出塁。逆転サヨナラ勝ちでホームを踏んだ。その試合後、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、入場制限で球場に入れなかった一部のファンが球場の外に待機して石川の様子を気にしていたことを、知り合いから聞かされた。
「僕がレギュラーだったときはなかなかチームを勝たせられず、DeNAファンには申し訳ない思いがあるんです。それなのに、ファームの試合に応援に来ていただいたり、球場に入れないのに寒い中で僕の帰りを待ってくれている方たちがいて……」と複雑な表情を浮かべて続けた。「このままやめて本当にいいのかなと。応援してくれるファンに、もう一度グラウンドでプレーしている姿を見せたいと思って。可能性は低いかもしれないけど直接お礼を言いたい」と引退に固まりつつあった思いから一転、現役続行を決断した。
その道が険しいことは重々承知している。34歳のベテランに他球団から声がかかる可能性は決して高くない。だが、現役続行を決断した以上、雑念を振り払って練習に没頭した。1月の自主トレでは午前6時のランニングから始まり、朝食後に短距離、中距離ダッシュのほか、下半身強化の自重トレーニングを10種類以上こなす。午後からは守備練習、ティー、マシンを使った打撃練習。寒さで室内練習場の温度は氷点下になることもあったが、体から湯気を出して大粒の汗が流れる。マスク越しの息遣いは荒い。午後6時近くに練習場を引き上げると、体のメンテナンスを行う。夕食を取って午後10時過ぎには就寝。6勤1休の生活で、休みの日も体のケアに多くの時間を割いた。
自主トレに同行している丸山和也トレーナーは石川の体を10年以上見てきた。「決して若くないので、一つのトレーニングやメンテナンスにかける時間は昔より長くなっています。でも、人間は慣れると少し抜いたり、効率性を求めて新しいことに飛びついたりするんです。実際にそういう選手を多く見てきました。でも、タケは決して妥協せず地道なメニューを丁寧にこなす。器用なタイプでないかもしれないけど、横着しなかったからこそプロの世界で長くできているのだと思います」
多くの選手の個人トレーナーとして心身のケアに務めてきた。その中で所属先が決まっていないにもかかわらず、例年どおり1月の自主トレで自分を追い込む石川の姿に感銘を受けたという。「口にしないけど、不安は絶対にあると思うんです。でも弱音を吐かず、やるべきことをしっかりやる。なかなかできることではないと思いますし、年下ですけど尊敬します。今までも何度も逆境からはい上がる姿を見てきました。野球を続けられるチャンスを与えてほしいです」と思いを口にした。
2月に入り、静岡から関東に戻った。コロナ禍であることも影響し、練習する環境が定まっているわけではない。昨年までは春季キャンプ地の沖縄で体を動かしてきただけに、不便に感じるときも当然あるはずだ。だが、弱音は吐かない。
「コロナの状況で僕より大変な方たちはたくさんいるし、ストレスは感じない。今は最善の準備を尽くすだけです」
決断の時は近づいている。そのときまで誠心誠意、野球と向き合う。
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石川選手、選手として続けられればいいけど、
所属先が決まらなかった場合、オープン戦で一日限定契約の引退試合とかもあるのかな。
Posted by 清水町議会議員 松浦俊介 at 17:09
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