2021年09月17日

<コロナワクチン>3回接種が進んだイスラエルで感染爆発、4回目を準備

下記、ニューズウィーク日本版と河北新報

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3回接種が進んだイスラエルで感染爆発、4回目を準備
9/16(木) 19:32配信 ニューズウィーク日本版


<ブースター接種が1回で不十分だとすれば、いったい何回打てば感染を防げるのか、ワクチンは万能薬ではないのか、世界も近く問題に直面する>


新型コロナウイルスのワクチン接種で世界の先陣を切ったイスラエルは、ワクチンの効果を持続させるブースター接種(3回目の接種)にもいち早く着手した。それにもかかわらず今、感染者が急増している。


9月14日には新たな感染者数が1万730人、直近7日間の平均は1万1027人だ。


「これまでの波では存在しなかった記録だ」イスラエル保健省の新型コロナ対策を率いるナフマン・アッシュは9月14日に議会の委員会にオンラインでそう語ったと、地元メディアが伝えた。

今年6月には1日の感染者数を10数人前後まで抑え込めていたが、今は過去のピークを上回る第4波の真っ只中にある。

「1週間前には明らかな減少傾向が見られたが、ここに来て下げ止まり、Rの数字が(再び)1を上回った」と、アッシュは警告した。Rとは1人の感染者が何人に感染させるかを示す実効再生産数(Rt)のこと。1を下回れば感染は収束に向かうが、上回れば拡大を続ける。「今後より顕著に減少すると思いたいが、現時点ではその兆しは見えない」

<学生フェスや巡礼で密集>

イスラエル政府のコロナ対策の最高責任者サルマン・ザルカによると、9月13日の新規感染者1万556人の半数は未成年者だ。

ザルカによれば、保健省は政府に対し、大規模な集会を規制し、サッカーの試合など大観衆が集まるイベントを禁止するよう要請してきた。だが当局の警告にもかかわらず、9月初めには港湾都市エイラートで恒例の学生フェスが実施され、全土から集まった若者たちがどんちゃん騒ぎを繰り広げた。高名なラビ(ユダヤ教の聖職者)の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した。

今後もこうした大規模イベントが次々に実施されると見られる。

今月に入りザルカは4回目のワクチン接種に向けて準備を進める考えを示した。

「ウイルスが存在し、今後も存在し続ける以上、4回目の接種にも備える必要がある」と、ザルカは9月4日、公共ラジオの取材に応えて語ったが、実施時期は明らかにしなかった。



「次の波は必ず来る」
ザルカによれば、4回目の接種では、感染力が強いデルタ株など新たな変異株に対応した改変型のワクチンを使う予定だ。今後も新たな変異株が次々に出現し、感染拡大の「波が繰り返される」と見られるため、定期的なブースター接種が「ニューノーマルになる」と、ザルカは予告する。イスラエル保健省は、今の第4波を乗り越えても、第5波は必ず起きるとの前提で準備を進めているという。

イスラエルは昨年12月に他国に先駆けてワクチン接種を開始し、今年3月初めには国民の半数以上が2回目の接種を済ませていた。


その後保健当局は、新たなデータで時間の経過と共にワクチンの効果が低下することがわかったと発表。7月末には高齢者を対象にいち早くブースター接種を開始した。

当初は、重症化のリスクが高い60歳以上を対象に、ファイザー製ワクチンの3回目接種を行なっていたが、8月には対象年齢が40歳以上に拡大された。

<米政府も追加接種を目指すが>

イスラエルのナフタリ・ベネット首相は先月フェイスブックの公式アカウントで、わが国は世界に先駆けてブースター接種を実施することで、グローバルなコロナとの戦いに、データ提供という「偉大な貢献」をしていると述べた。

「イスラエルはグローバルな知識に偉大な貢献をもたらそうとしている。われわれなしでは、世界はブースター接種の正確な有効性も、打つべきタイミングも、感染状況への影響も、重症化への影響も分からないだろう」

イスラエルでは早期にワクチン接種を受けた人たちの抗体レベルの低下を示すデータがあると、公衆衛生当局の責任者シャロン・アルロイプライスは述べているが、追加接種が進む今も、全土で感染者が増え続けている状況を見ると、ワクチンだけでは感染拡大は止められそうもない。

アメリカでも近々、ブースター接種が始まる。米食品医薬品局(FDA)は9月12日、臓器移植を受けた人など免疫力が低い人に限り、ファイザー製とモデルナ製ワクチンの3回目の接種を認める方針を発表した。

バイデン政権は9月末から医療従事者や高齢者を対象にブースター接種を進めたい考えだが、FDAも米疾病対策センター(CDC)も今のところ一般の人たちは2回の接種で十分に守られているとして、追加の接種は必要ないとの見解を変えていない。

サマンサ・ロック

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コロナ飲み薬、進む開発 早ければ年内の処方も 東北医科薬科大・久下教授に聞いた
9/16(木) 16:07配信 河北新報


2021年9月現在。申請から承認までの期間はおおむね1カ月程度。4社とも今冬にも供給できる可能性がある

 新型コロナウイルスの感染初期に、口から投与できる治療薬の開発が国内外で進む。早ければ年末から来年初めにも、国内の医療機関で処方される可能性がある。コロナの治療薬を研究する久下周佐(くげ・しゅうすけ)東北医科薬科大教授に経口薬の特徴や課題を聞いた。



■症状ないまま完治も可能

 開発が先行する主な製薬会社は、塩野義製薬(大阪市)とファイザー、メルク(ともに米国)、ロシュ(スイス)の4社。いずれも医師の診断で処方される経口治療薬で、軽症患者が対象だ。陽性と分かった時点で服用することで、症状のないまま完治できる可能性もある。

 臨床試験(治験)は3段階(相)を踏む。塩野義製薬は第1~2段階の「第1/2相」、ファイザーは第2~3段階の「第2/3相」。メルクとロシュは「第3相」と一歩先行する。

 塩野義製薬の抗ウイルス薬「S―217622(名称未定)」は、ウイルスが細胞内で増殖するために必要な酵素の働きを妨げる。今冬までに第2相の治験を終え、厚労省の条件付き早期承認制度を利用して年内の申請を目指すという。

 ファイザーの「PF―07321332(名称未定)」も塩野義製薬と同様の仕組み。3月から治験を始め、第2/3相は早ければ10月にも終了する。

 細胞内でウイルスの遺伝子が複製する働きを阻み、ウイルスの増殖を抑える「モルヌピラビル」を開発するのはメルク。最終段階の治験中で、年内にも米国などでの承認申請を見込む。

 ロシュは、傘下の米アテアがC型肝炎ウイルス治療薬として研究していた「AT―527(名称未定)」の転用を目指す。提携する中外製薬(東京)によると、22年に国内で申請、承認後は中外製薬が販売を担う予定だ。

 他の経口薬としては、エイズウイルス(HIV)の治療薬「ネルフィナビル」の効果を長崎大などが調べている。一部で話題となった駆虫薬「イベルメクチン」の製造元は、有効性の科学的根拠が存在しないと発表した。

■ワクチン接種は欠かせず

 最大の課題である安全性について久下教授は、開発中の薬剤と類似した仕組みの抗ウイルス薬が、HIVやC型肝炎治療薬として実績があることから「問題はないだろう。治験でも重篤な副反応の報告はない」と説明する。ただし「多くの人が使い始めると、薬剤耐性ウイルスが出現する恐れもある」と注意を促す。

 新薬の開発期間は通常、基礎研究から10年以上かかるケースが多い。新型コロナでは2年程度と大幅に短縮されそうだ。コロナウイルスの一つで2003年に見つかった重症急性呼吸器症候群(SARS)の研究が転用されたこと、患者数が多く治験の効率が良いこと―が奏功したと久下教授は分析する。

 ワクチン導入までの経緯を踏まえて久下教授は、米国などで特例承認された1カ月後をめどに日本でも特例承認されると予想する。「最初は輸入頼りで供給量は多くないだろうが、ワクチンと比べれば早期に安定供給が可能だ。順調に進めば、年末から来年初めごろに国内でも処方が始まるのではないか」と期待する。

 薬剤によって異なるが、服用期間は5日程度になる見込み。薬剤耐性ウイルスを出現させないためにも、所定の用法用量を守るよう久下教授は注意を促す。さらに、今後もワクチン接種が欠かせないとの見方を示した。

 「まだまだ変異株には懸念がある。変異株に対応した追加のワクチン接種と、感染初期に処方する経口薬、どちらも重要だ」

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ワクチン接種は、重症化は抑えられるのかもしれないが、
やはり治療薬ができないとコロナ以前の社会生活に戻るのは、
なかなか難しい。

今後、さらに強烈な変異株が出ないとも限らないし。



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Posted by 清水町議会議員 松浦俊介 at 10:47 │感染症

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