農地転用権限移譲へ 4ヘクタール超も都道府県に-分権改革政府案 

清水町議会議員 松浦俊介

2015年01月28日 20:00

下記、1月27日と28日の静岡新聞

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農地転用権限移譲へ 4ヘクタール超も都道府県に-分権改革政府案 
2015/01/27 静岡新聞 朝刊

政府は26日、農地を工場や商業施設など別の用途に変える農地転用について、許可権限を地方に移譲する改革案をまとめた。現状は、4ヘクタール超の大規模農地で国が許可する仕組みだが、国との協議の上、都道府県が許可できるようにする。一定条件を満たして農林水産省の指定を受けた市町村は、都道府県と同じ権限を持てるとした。
 農地転用の権限移譲は地方分権改革の焦点。分権を地方創生の目玉としてアピールしたい政府が全国知事会など地方側の意向を取り入れた形となった。
 26日午後の自民党の会合で説明、了承された。これにより地方分権改革の全体像が固まり、政府は分権改革の対応方針を30日にも閣議決定、関連法の改正案を今通常国会に提出する。
 判断を自治体に任せると、転用が進んで農地が減ってしまうという農水省の懸念を踏まえた対策も盛り込む。国と都道府県、市町村が農地面積の目標を話し合う「協議の場」を設置。自治体が転用を適切にできるように国が事例集を作成する。
 2ヘクタール超4ヘクタール以下の農地は国と協議し都道府県が許可していたが、協議を廃止する。2ヘクタール以下はこれまで通り都道府県が許可する。
 農水省の指定を受けた市町村は、都道府県と同様に転用を許可できるようになる。転用事務を適正にできることが指定の条件。不適切な許可をした場合、農水省は指定を取り消せる。農水省は、近く有識者検討会を設置し、指定の基準づくりに着手する。
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 ■解説=実効性の確保 注視
 国が農地転用の権限を自治体に移譲する案をまとめた。地方分権改革で一定の前進があったと評価できる内容だ。国の判断に時間がかかった手続きがスムーズになり、迅速なまちづくりが期待できる。ただ、新たな仕組みでも国の関与は残る。どれだけ実効性が確保されるのか、国の対応を今後も注視していく必要がある。
 農地転用の権限移譲は、地方側が長年にわたって求めてきた悲願だ。今回初めて実施した分権の提案募集でも、多くの自治体が要望。全国知事会など地方6団体も重点項目に位置付け、合同の要請書をまとめるなど実現に向け協力した。
 農林水産省の「自治体に権限を移せば、転用が進み十分な農地が確保できなくなる」とする懸念に対しては、「農地面積の確保に地方も責任を持つ。信頼して任せるべきだ」と反論。国と地方が連携して農地確保の目標を設定する仕組みの創設につながった。
 政府が譲歩した形の改革案だが、地方が廃止を求めていた国との協議は、4ヘクタール超の農地で残る。また都道府県と同等の権限を持てる市町村を指定するのは農水省だ。運用で縛ろうとすれば「実態は変わっていない」との批判が上がるのは確実だ。自治体も無秩序な開発を進めれば、自ら分権の道を閉ざすことになる。
 【図表】農地転用改革案のポイント
(共同)

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悲願成就に自治体歓迎 「運用次第」警戒感も-「地方創生の柱」農水省譲歩 
2015/01/27 静岡新聞 朝刊

 地方分権改革の焦点となっていた農地転用許可の権限移譲に関し、抵抗を続けてきた農林水産省が26日、一転して譲歩した。安倍政権が最重要課題「地方創生」の目玉政策にする狙いで、外堀を埋めた格好だ。地方は長年の悲願成就に歓迎の声を上げる。ただ農水省は農地確保を理由に一定の影響力を残す構えで、運用面に懸念もくすぶる。
 「農地転用の権限移譲を実現させて、政府全体で分権を進める姿勢のシンボルにしたかったのだろう。うまく舞台装置をつくられてしまった」。農水省幹部は、内閣府の地方分権改革推進室との協議で守勢に立たされた経緯を振り返った。許可権限の移譲は、全国知事会など地方6団体が10年以上も要望していた。これに対し農水省は農地面積の確保を主張。少なくとも4ヘクタール超の転用許可は国に権限を残したかったのが本音だった。
 だが、分権改革でめぼしい成果を打ち出せない政権からの圧力は強まるばかり。農水省は、地方が「本丸」と位置付ける案件で譲歩は避けられないと判断した。
 改革案では、4ヘクタール超の許可も、国との協議を前提とした上で都道府県の権限に変更。条件を満たす市町村を指定し、都道府県と同じ権限を与えることも盛り込んだ。一方で、農水省は「名を捨てて実を取る」戦略に転換。西川公也農相が今月中旬、石破茂地方創生担当相に直談判するなどし、市町村が不適切な許可をすれば農水省が指定を取り消せるなどの「歯止め策」を設けることで折り合った。農地面積の目標設定をめぐり、新設する地方側との協議の場で主導権を維持する考えだ。
 とはいえ、地方側には朗報なのは間違いない。佐竹敬久秋田県知事は記者会見で、企業誘致などを念頭に「地元に権限があれば早く動ける」と指摘した。だが、4ヘクタール超の転用に国との協議が必要とされた点には不満も残る。ある県の幹部は「農水省が簡単には認めない事態も想定される。地方の自由度が高まるかどうかは運用次第」と警戒する。
(共同)

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分権改革 閣議決定へ 農地転用権限移譲 自民が了承 
2015/01/27 静岡新聞 朝刊

自民党の農林水産戦略調査会と農林部会の合同会議は26日、農地を工場や商業施設など別の用途に転用する際の許可権限について、国から地方に移譲する政府の改革案を了承した。これにより地方分権改革の全体像が固まり、政府は分権の対応方針を30日にも閣議決定、関連法の改正案を今通常国会に提出する。農林水産省は都道府県と同等の権限を持てる市町村の指定基準づくりを本格化させる。
 改革案は、現行では国が許可している4ヘクタール超の農地転用を、国との協議の上、都道府県が許可できるようにする。2ヘクタール超4ヘクタール以下では、都道府県が許可するに当たって必要だった国との協議を廃止。一定条件を満たして農水省の指定を受けた市町村は、都道府県と同じ権限を持てるとした。
 農水省は具体的な基準をつくるため、近く有識者検討会を設置する。不適切な許可をした市町村の指定解除に関しても、具体的なケースを詰める。地方の意向を反映させるため、検討会には自治体首長も参加する見通しだ。
 会合では「条件の良い農地が虫食い状に転用されるのではないか」「市長らが恣意(しい)的に許可を出す可能性がある」などの懸念が出たが、農水省幹部は「転用の基準そのものを緩和することはない」として農地の確保はできると説明した。
 政府は15日、分権改革に関して全国の自治体が寄せた提案への対応方針案を公表。農地転用は判断が先送りされていた。
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 ■解説=実効性の確保 注視
 国が農地転用の権限を自治体に移譲する案をまとめた。地方分権改革で一定の前進があったと評価できる内容だ。国の判断に時間がかかった手続きがスムーズになり、迅速なまちづくりが期待できる。ただ、新たな仕組みでも国の関与は残る。どれだけ実効性が確保されるのか、国の対応を今後も注視していく必要がある。
 農地転用の権限移譲は、地方側が長年にわたって求めてきた悲願だ。今回初めて実施した分権の提案募集でも、多くの自治体が要望。全国知事会など地方6団体も重点項目に位置付け、合同の要請書をまとめるなど実現に向け協力した。
 農林水産省の「自治体に権限を移せば、転用が進み十分な農地が確保できなくなる」とする懸念に対しては、「農地面積の確保に地方も責任を持つ。信頼して任せるべきだ」と反論。国と地方が連携して農地確保の目標を設定する仕組みの創設につながった。
 政府が譲歩した形の改革案だが、地方が廃止を求めていた国との協議は、4ヘクタール超の農地で残る。また都道府県と同等の権限を持てる市町村を指定するのは農水省だ。運用で縛ろうとすれば「実態は変わっていない」との批判が上がるのは確実だ。自治体も無秩序な開発を進めれば、自ら分権の道を閉ざすことになる。
 【図表】農地転用改革案のポイント
(共同)

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袋井市長歓迎 「大きな前進」-「農地転用の権限移譲」政府方針
2015/01/28 静岡新聞 朝刊

袋井市の原田英之市長は27日の定例会見で、政府が農地転用の許可権限を地方に移譲する改革案を固めたことについて「大きな前進。まちづくりを自治体が中心になってやる時代に大きく近づいた」と評価した。
 政府の改革案では、現在国が許可している4ヘクタール超の大規模農地の転用を、国との協議の上で都道府県が許可できるように改める。2ヘクタール超4ヘクタール以下の農地転用を都道府県が許可する際に行っていた国との事前協議も廃止し、地方が長年求めてきた要望を取り入れたとされる。
 袋井市は、2004年に民間事業者が国本地区に出店の意向を示したことで、同地区の商業開発に乗り出した。ところが土地の大半が農地だったため手続きは難航し、09年には関連法改正で転用基準が厳格化。結果的に構想は白紙となった。原田市長は当時の農林水産省関東農政局との協議について「『袋井の農業生産が減るわけではない』と言っても一切だめ。図面を見ているだけで来ようともしなかった」と振り返り、許可権限が市町により近い県に移ることを歓迎した。

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担当課に確認したが、
町として大きな影響はないとのことである。

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