<一般質問>Ⅱa以上の認知症高齢者、療育手帳所持者、精神障害者保健福祉手帳所持者が何人
下記、一般質問原稿掲載
************
平成28年5月に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行され、同法に基づく成年後見制度利用促進基本計画が今年3月に閣議決定されました。
まず、成年後見制度について述べますと、平成12年4月に介護保険制度がスタートし、利用者が事業者と「契約」して介護サービスを受けるようになりました。同時に、介護保険を補完する成年後見制度も始まりました。判断能力が不十分で契約できない高齢者などを支援するためであります。高齢者の生活を支える「介護保険」と「成年後見制度」が「車の両輪」といわれる理由です。
成年後見制度は、認知症の高齢者や、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々が不利益を被らないように家庭裁判所に申立てをして、保護し、支援する制度です。
たとえば、一人暮らしの老人が悪質な訪問販売員に騙されて高額な商品を買わされてしまうなどといったことを最近よく耳にしますが、 こういった場合も成年後見制度を上手に利用することによって被害を防ぐことができる場合があります。
また、成年後見制度は精神上の障害により判断能力が十分でない方の保護を図りつつ自己決定権の尊重、残存能力の活用、 ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという理念)の理念をその趣旨としています。 よって、仮に成年後見人が選任されてもスーパーでお肉やお魚を買ったり、お店で洋服や靴を買ったりするような日常生活に必要は範囲の行為は本人が自由にすることができます。
そうした成年後見制度がある中で、さらに昨年、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行されました。
この法律には、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日 常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊 の課題であり、かつ、共生社会の実現に資すること及び成年後見制度がこれらの者を支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進について、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進委員会を設置すること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としています。
成年後見制度は,大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。
また、法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。
<後見> ほとんど判断出来ない人を対象としています。
精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって判断能力を欠く常況にある者を保護します。大体、常に自分で判断して法律行為をすることはできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができます。また、成年後見人または本人は、本人が自ら行った法律行為に関しては日常行為に関するものを除いて取り消すことができます。
<保佐> 判断能力が著しく不十分な人を対象としています。
精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって判断能力が特に不十分な者を保護します。簡単なことであれば自分で判断できるが、法律で定められた一定の重要な事項については援助してもらわないとできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権を与えることができます。また、保佐人または本人は本人が自ら行った重要な法律行為に関しては取り消すことができます。
<補助> 判断能力が不十分な人を対象としています。
精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって判断能力が不十分な者を保護します。大体のことは自分で判断できるが、難しい事項については援助をしてもらわないとできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権(取消権)を与えることができます。
法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
成年後見制度の利用者数の推移をみると増加傾向にあり、平成27年12月末日時点で191,335人となっており、成年後見の割合が約79.8%、保佐の割合が約14.5%、補助の割合が約4.6%、任意後見の割合が約1.2%となっています。
申立人については,本人の子が最も多く全体の約30.2%を占め,次いで市区町村長(約17.3%),本人の兄弟姉妹(約13.7%)の順となっています。
市区町村長が申し立てた事件数は増加傾向にあり、平成27年は全体34,623件の約17.3%、5,993件となっています。
主な申立ての動機としては,預貯金等の管理・解約が最も多く,次いで,介護保険契約(施設入所等のため)となっています。
さて、成年後見制度の利用促進に向けて、当町の現状と課題、今後の取り組みについて取り上げていきますが、まず、町内に日常生活自立度がⅡa(日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭外で多少見られても、誰かが注意していれば自立できる状態)以上の認知症高齢者、療育手帳所持者、精神障害者保健福祉手帳所持者が何人いるかを伺います。
また、高齢者一人暮らし世帯、高齢者のみ2人以上世帯、要介護認定者数が何人いるかを伺います。
【答弁】長寿介護課長
認知症高齢者の日常生活自立度が、Ⅱa以上の高齢者について、全町民を対象にした人数は、把握することはできませんが、介護認定を受けている方の中でⅡa以上の方は、平成29年4月1日現在726人であり、これは要介護認定者の約6割に当たります。
また、65歳以上の高齢者の一人暮らし世帯は1,322世帯、高齢者のみの世帯は1,207世帯であり、要介護認定者数は1,176人であります。
なお、療育手帳の所持者は、本年8月1日現在、167人で、精神障害者保健福祉手帳の所持者は、147人であります。
関連記事