<武雄市長>樋渡啓祐氏の講演会

清水町議会議員 松浦俊介

2012年10月23日 12:37

昨晩、樋渡啓祐氏三島講演実行委員会主催による
樋渡啓祐(ひわたし けいすけ)・武雄市長の講演会が三島市民文化会館小ホールであったので参加した。

佐賀県武雄市は、私の日記でも何回か取り上げた。

市役所が婚活を行う「お結び課」の設置
http://giin.i-ra.jp/e268126.html(2010年10月17日)

全職員のツイッター利用、フェイスブック学会の立ち上げ(2011年06月09日)
http://giin.i-ra.jp/e352119.html

市HPをフェイスブックに完全移行(2011年08月10日)
http://giin.i-ra.jp/e377466.html

公立図書館へのスターバックス出店(2012年10月02日)
http://giin.i-ra.jp/e603206.html

他にも今年の夏は、
短パン、サンダル履きもOKのウルトラクールビズを実施するなど
常にニュースを発信し続けている。

今日も、よくある市長の講演だからという先入観で来たら大間違い。

客席の前の方で、写真を撮っている人たちを見ると
お客さんと気さくにポーズを取りながらカジュアルな格好の樋渡市長がいた。

講師はふつう、市長でなくてもスーツにネクタイだと思うのだが、
まったく予想していない服装で、
そのあとに登場した豊岡・三島市長との違いが鮮明であった。

会場は、満席。
驚いたのは、
講演が始まって樋渡市長が
「県外から来た人?」って客席に向かって質問し、
私の周りだけで10人くらい手を挙げていた。

私は、会場の真ん中くらいに座っていたが、
多くの人が遠方はるばる樋渡市長の講演を聴きに三島へ来たのだ。

講演終了後の質問などで東京や埼玉など
県外から来た方の発言もあった。

樋渡市長の求心力に講演冒頭から驚いた。

ちなみにこの講演は、
会費1000円で、経費を除いたその収益は
東北の子どもたちの学びと遊びを支援する「プロジェクト結」の活動に充てられるという。

樋渡市長は、42歳。
元総務省官僚で平成18年に武雄市長選挙に立候補し当選。

現在、3期目だが、その間、
平成20年に、自治体病院の経営形態を巡る対立から
市民グループが市長リコールの方針を固めたことに対し辞職で応じ、
出直し選挙を行い当選するなど
その行動力から多くの摩擦を生み、
本人いわく
「いつ刺されてもおかしくない状況にある」
「怪文書はたぶん日本で一番多くいただいているので、辞める時は日本怪文書集というのをZ会から出そうと思っている」
「提訴を2件受けていて21億円の損害賠償請求を受けている」
という。

ソフトバンクの孫さんも樋渡市長のことを
ファンキーな市長と述べている。

樋渡市長は下記の6つのキーワードを示す

「組む」
小国なので大国を相手にする。
ニュースになるタイミングで記者会見をする。
5月4日を選んでツタヤとの会見を行う。

「反省せず」
暗くなるので反省しない。
前を向いてチャレンジする。

「過ぎる」
過ぎる人でないと人はついてこない。
面白くない。

「笑わす」
笑いがあるのが大事。 
エネルギーを充足させる。
深刻な対立も笑いに変える。

「Speed&Open」「劇場化」
スピードは最大の付加価値、行政こそ早く仕事ができる。
橋本徹のトークの師匠は、デーブスペクターで最初の5秒が大事。
胸を反って話す。最初の5秒で人心をつかむ。

フェイスブックの利用者は10億人。
6人に一人が利用している。
日本の利用者は1500万人。

武雄市は「facebook city課」を設置。

高齢者は、フェイスブックなどできないと思われがちだが、
孫や娘に代筆してフェイスブックで武雄市にメールが来ている。

市ホームページをフェイスブックに移行し、
デザイン代やサーバー代などがかからないので
維持費が600万円から200万円になった。

アクセス件数は月5万件から現在380万件。

儲かる自治体、稼ぐ自治体を目指し、
「F&B良品」という通販サイトをフェイスブックで展開し、
始まって1年間で、これまで70品目1000万円の売り上げがある。

「F&B良品」は、手数料がかからないほか、専属のカメラマンを無料で手配。
出品費用や中間マージンを排除することで、消費者も安価に商品を購入できる。

以前、楽天市場へ出店して100万円かかっていた出店者が今は経費O円。

楽市楽座で武雄市の税収のアップを狙っている。

樋渡市長は、成功事例が目立ってはいるが
やったことの7割くらい失敗しているという。

首長は、4年間何もやらないければ
無難に次の選挙に当選するかもしれない。

何もしないのが一番いいということになるが、
そんな多くの失敗をしている樋渡市長を
武雄市民は支えている。

市長は、職員にはあえて「失敗しろ」と言っている。

図書館は、民間企業であるツタヤを
指定管理者にしたことに批判が出ているが、
経費削減につながり
市民アンケートでも7割の方が賛成している。

前例にとわられず
あくまでも市民目線で物事を考える。

公共施設を任されたことでツタヤを展開する
カルチュア・コンビニエンス・クラブの社員の士気も上がっている。

市長は最後に
「日本人は深く考えすぎ」
「どんどん大法螺を吹くべき」
と結ぶ。

ジョークとシャレと冗談のような本気の話を聴きながら、
「スピード」と「組み合わせ・連携」、「共感」、そして「パクリあい」の重要性を学ぶ。

ソーシャルメディアを活用し、
人口5万人の九州の小さな自治体が
大手民間企業と積極的に連携して、
先進的な取り組みをしている。

今後も武雄市から全国に注目される情報が発信されていくことは間違いない。

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