<一般質問>町がどのように収入を増やしていくのか

清水町議会議員 松浦俊介

2019年09月12日 20:03

下記、一般質問原稿掲載
(実際の質問と全く同じではありません)

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当町としても、積極的に収入を増やす取り組みをこれまで以上に推進していく必要があります。

そこで、茨城県境町の事例を紹介したいと思います。7月に駿東郡議長会で議長と共に茨城県境町へ視察研修を行いました。

境町は関東平野のほぼ中央、首都50キロメートル圏内にあり、茨城県の西南部、県都水戸市まで約70キロメートルに位置しています。
町の西南部を利根川が流れ、その利根川をはさんで千葉県に面しており、また、周囲は古河市、坂東市、五霞町、千葉県野田市に隣接しています。
面積46.59平方キロメートル、人口現在6月1日24,143人です。
境町は、43歳、2期目の橋本正裕町長の強力なリーダーシップで子育て日本一を目指し、英語教育に力を入れるなどさまざまな子育て支援策に力を入れています。
また、その財源にはふるさと納税や国の補助金、交付金などを活用しています。

境町は、財政状況が平成28年の実質公債費比率が15.6%、将来負担比率127.6%(茨城県平均45.25%)という北関東ワースト1位という状況の中、財政再建に取り組んでいます。
橋本町長は、平成26年3月から町長を務めていますが、平成26年町の貯金が7億円であったものが、財政調整基金+ふるさとづくり基金+英語教育基金で平成30年度22億円となりました。
将来負担比率も平成25年184.1%であったものが平成30年108.0%。平成25年実質公債費率16.2%が平成30年15.3%となっています。
借金である地方債残高は、平成25年171億9,024万円であったものが、平成30年152億5,000万円と19億4,000万円削減されます。

境町の財政改善の取り組みは、歳出カットではなく収入を増やす取り組みを展開しています。

<ふるさと納税>
岐阜県各務原市(かかみがはらし)を視察し、その事例を参考に
①クレジット決済やコンビニ収納の導入
②記念品を多く集める
③マスコミを活用する
等の工夫により、

各務原市は、平成24年度はふるさと納税3件78万円であったものが、3年後の平成27年度には、20,683件328,089,008円と大幅な寄付金の確保に成功すします。

境町のふるさと納税の返礼品を「ふるさとチョイス」で調べますと273件の記念品が出てきます。
清水町では、わずか24件です。
境町は、米や肉、お酒、お茶などの食料品が多いですが、それ以外の特徴的な記念品をいくつか紹介しますと

〇境セグウェイオフロードツアーペアチケット(40分)20,000 円

〇日本初!エアボート利根川ペアクルージング&さかいキッチンペアお食事券【ふるさと納税限定】60,000 円

〇お墓のお掃除代行サービス20,000 円

〇妙義・秋深し(28㎝×40㎝・額付)3万円寄附
鏡を見て (40㎝×28㎝・額付) 3万円寄付
花美人(B)(40㎝×28㎝・額付)3万円寄附
 ・木版画家 冨張廣司(とみはり ひろし)氏は,境町出身でモダンアート協会会員です。

〇地元クリエイター応援“内海聖史(UCHIUMI Satoshi)”絵画プラン 1点限定(1,000万円寄附)

当町でも郷土の版画家「前田光一木版画展」などを実施していますが、参考になると思われます。

〇【平日限定】水素自動車を体験しよう!トヨタ・ミライ 境町近隣ドライブ(道の駅さかいペア食事券付)10,000 円
境町では、北関東で初めてスマート水素ステーションを整備したほか、トヨタ『ミライ』・ ホンダ『クラリティ』の2台の水素自動車を導入し、積極的に環境に優しいまちづくりを推進しております。
こうした水素エネルギーの利活用をぜひ体験して頂きたく、近隣市町村の名所を水素自動車でめぐる試乗体験ツアーです。

境町役場の水素ステーションは、事業費の70%を補助する環境省の制度を利用しています。水素自動車2台で、家庭7日分の電力を蓄えられ、非常時の電源となります。2台あれば体育館が3日ほど維持でき災害に役立ちます。

〇【境町いきいき福祉大会】三山(みやま)ひろし笑顔を届けます!コンサート2019チケット(1名様分)10,000 円

※いきいき福祉大会の財源は、ふるさと納税を活用し、これまでも松平健など有名芸能人を招き、DHCのサプリメントを配布しています。
この「いきいき福祉大会」による効果で老人クラブの会員数が152人増加(総会員数2,577名)、新たに4つの老人クラブが創設され、平成30年10月現在で38クラブあるそうです。

〇兎谷津(うさぎやつ)へら鮒センター1日釣券5枚セット10,000 円

〇フィットネスステージMIGARUレギュラーメンバーズカード(3ヶ月有効) 40,000 円

〇茨城西南医療センター病院 日帰り人間ドック120,000 円
〇境町満喫!茨城西南医療センター病院【人間ドック】プラン(1泊2日)375,000 円
茨城西南医療センター病院での人間ドックに境町内の宿泊施設、お食事をセットにした1泊2日プランです。

〇境町満喫premium!茨城西南医療センター病院【人間・脳・肺ドック】フルプラン(1泊2日)750,000 円


令和元年8月九州北部大雨災害(佐賀県武雄市・大町町・みやき町)の代理寄附の受付を開始しました。
令和元年8月28日未明からの豪雨により、佐賀県を中心に九州各地で甚大な被害が発生しています。
この度の被害を受けて、茨城県境町では、九州北部大雨災害(佐賀県武雄市・大町町・みやき町)の代理寄附の受付を開始しました。
被災地の自治体職員は多くが現場で活動しなければなりません。
被災自治体の負担軽減のため、境町が業務を負担し実施いたします。


以上、とにかく数多くの多様な記念品を掲載し、また、特産品だけでなく、体験型の企画、イベント、町出身者のものと多彩であります。
そして、こうしたたくさんの記念品をマスコミ等使って積極的にPRをしています。

テレビ朝日の「モーニングショー」で取り上げられた際には、1日で1千万円の寄付を集めています。
その他、雑誌では、晋遊舎雑誌(しんゆうしゃ)の「ふるさと納税完全ガイド」、宝島出版雑誌の「田舎暮らしの本」、webサイトでは、ダイヤモンド社の情報サイト「ザイ オンライン」などに掲載されています。
その他、「西南医療センター」など町内各所や東京のイベントでふるさと納税のPRを展開しています。

結果、平成25年は7件65,000円だったふるさと納税が、平成29年119,294件2,208,516,050円となり、平成29年度の受け入れ額は関東1位、全国22位。平成30年度は、全国8位180,007件、60億8300万円となっています。


<企業版ふるさと納税>
国の認定を受ける必要がありますが、境町は積極的に事業認定を受け、町長のトップセールスで平成28年度29年度合計2億960万円と市町村で全国1位となっています。

結果、税金を一切使わず、企業からの寄付金で公園を整備し、空き家・空き店舗のリフォーム事業、ハワイで花火大会などを行っています。


<太陽光発電事業>
町の公共施設や屋上、町保有遊休地等35か所に設置し、売電を開始しています。

<新規補助金等の獲得>
平成26年度は5,000万円ほどであったものが、平成30年度は約8億8,900万円。


以上のような収入を増やす取り組みにより
平成26年度一般会計歳出決算78億5,040万円であったものが、平成30年度は212億1,800万円となっています。

こうして収入アップし、境町が行っているのが、子育て支援と教育に力を入れ、人口を社会増に転換させています。

中でも英語教育に力を入れ、境町スーパーグローバルスクール事業として、町立全小中学校にフィリピン人英語講師を招聘し、小学校1年生から日常的に英語に触れながら、小中学校9年間を通して、実用的な英語力を身に着け、グローバル社会で活躍できる人材を育成することを目的としています。

境町の英語講師数は、小学1校あたり2.4人で全ての学校に複数のフィリピン人講師を配置し、一日中フィリピン人講師が学校に常駐、休み時間や給食も児童と過ごしています。

そして境町は、「英語移住しませんか?」と子育て世帯向け移住定住住宅の積極的なプロモーション活動を行い、子育て世帯の人口増加につなげています。


こうした中、収入を増やす取り組みをする中で、職員のラスパイレス指数(国家・地方公務員基本給与額比較指数)も上げています。
平成27年の境町のラスパイレス指数は、92.9茨城県ワースト2位の43位だったものが、翌年96.7、3.8アップし順位を28位まで上げています。

職員については、プロフェッショナル職員を育てることを掲げ、銀行など様々な所での接遇研修を行っている講師による職員対象の接遇研修、明治大学や早稲田大学での講義受講・研究会参加、農家研修、商業研修、介護研修など積極的に職員研修を行っています。
他にもアフター5勉強会と題して、それぞれ現場で活躍されている「スーパー地方公務員」を全国から招き、全6回の自主参加型学習会を開催し、職員のやる気を向上し、意識改革に取り組んでいます。
他に麗澤(れいたく)大学、明治大学と協定を締結し、産官学の連携を図り、株式会社電通の社員を参与にするなどして外部のプロフェッショナルを登用し、専門知識の導入を図っています。
自治体はマーケティングが弱いため、民間から人材を登用することにより的確な政策が打てるように「境町マーケティング推進本部」を設置しています。

こうした取組みにより、ふるさと納税などを財源に各種の子育て支援策やまちづくりに積極的に進めています。

先日の質疑で森野議員も質問していましたが、当町のふるさと納税の寄付は昨年度250万円で、町民の町外への寄付による減収が2460万円余とのことでした。ふるさと納税だけで比較すると2200万円以上の赤字であります。
昨年度は、商品券の記念品を使ったふるさと納税を実施した自治体もあり、今年度は、そこまでいかないとは思いますが、まずは、これを黒字化し、数年後に清水町の収入の柱にしていく必要があると思います。

当町も境町のように収入を増やす取り組みをさらに積極的に行う必要があると思いますが、それには町長のリーダーシップが重要です。
今後、町がどのように収入を増やしていくのか、町長に伺います。

【答弁】町長
ふるさと納税制度は、町の特産品の販路拡大や観光事業等を全国に情報発信するとともに、貴重な自主財源確保のための有効な手段であると認識しております。
議員御提案の茨城県境町を例とした、ふるさと寄附金を活用し収入を増やす取組についてでありますが、貴重な御意見として承るとともに、本町といたしましても、一層の収入の確保と町の情報発信に向けたふるさと納税制度のあり方について、従来のモノによる返礼品のみならず、体験型の返礼品等についても先進事例を参考にしながら調査研究をしてまいりたいと考えております。
また、町長のリーダーシップについてでありますが、わたくし自らが職員の先頭に立ちトップセールスを行い、積極的に各種歳入の確保を図るとともに、併せて歳出の動向を注視し、未来へ続く健全な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
よろしく御理解を賜りますようお願い申し上げます。


【まとめ】
現在、副町長がいないので、なかなか難しいところもあると思いますが、副町長の人選を進め、町内のことは、ある程度は副町長に任し、町長はとにかく町外に出て国の機関や民間企業、先進自治体へ積極的に出張、視察研修を行って頂き、補助金の獲得、民間企業や大学との連携・マーケティングの推進、先進自治体のノウハウの習得、清水町の積極的な情報発信に努めていただきたいと思います。


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