施政方針

清水町議会議員 松浦俊介

2019年06月04日 16:14

下記、町HP転載
http://www.town.shimizu.shizuoka.jp/kikaku/kikaku00004.html

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施政方針とは、町長の町政運営に対する基本的な考え方や予算案及び主要な施策について述べたものです。
通常は町議会(3月定例会)の冒頭で表明します。


本日、令和元年清水町議会第2回定例会が開催され、補正予算案並びに関係諸議案を御審議いただくに先立ち、私の町政に対する基本的な考え方及び主要な施策の概要を申し述べ、町民の皆様並びに議員各位に御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

~はじめに~
私は、本年4月に執行された町長選挙において、議員各位とともに、町民の信託をいただきました。この場に至り、託された責任の重さに改めて身の引き締まる思いであります。
町民の負託に応え、一つずつ着実に課題を解決し、健全財政を堅持しながら、子どもから高齢者まで、全世代の町民と協力し、更なる町政の発展に全力で取り組んでまいる所存であります。

~これからの町政運営に向けて~
平成から令和へ。令和元年5月1日、新天皇の御即位が行われました。
国民の祝福の中、新たな時代が華々しく幕を明け社会情勢は大きな変化を遂げようとしています。
国内では、少子高齢化に伴う人口減少が「国難」とも呼ぶべき危機だと言われる中、年少人口・生産年齢人口の減少は加速度的に進み、また、首都圏と地方の人口格差は更に広がることが予想されています。
人口構成の変容は、社会構造の変革をもたらし、これまで常識だと考えられていた社会的なルールをも変えてしまうかもしれません。
このような情勢の中、ラグビーワールドカップに続き、東京オリンピック・パラリンピック、更には大阪万博など、世界的なイベントが国内で開催されることにより、様々な効果が期待されています。
本町におきましても、柿田川を含む伊豆半島ジオパークが世界から注目を浴びる二度とない好機でありますが、視点を変えると、訪日外国人客の対応や必要人材の確保に向けても重要な時期となります。
私たちはこのような情勢変化を敏感に察知し、あらゆる分野において素早く、そして的確に対応し続けなければなりません。先ほども触れましたが、少子高齢化に伴う人口減少は、税収の減少に加え、社会保障費の増加など、町の財政を大きく圧迫する要因となります。東京都の一部を除き、全国のほぼ全ての地方自治体が同様の課題に直面する中、本町においても道路や橋梁の老朽化対策、施設の更新や統廃合の推進など、地域生活の基盤をしっかりと保持しながら、より一層効率的かつ効果的な行政運営に努めなければなりません。
地域社会の課題は無限ですが行政の財源には限りがあります。今こそ、経済力・町民力・財政力を向上させ、持続可能な自立した強い町・清水町のために、地域が一丸となって進むべき時だと考えます。
また、時代のニーズに合わせた地域づくり、まちづくりにおいては、町民の声に耳を傾けるだけではなく、わがまちの未来を共に考え、行動し、築く、即ち町民参加のまちづくりこそが施策の推進に欠かせない重要な要素であると考えております。地域において、各々に期待される役割や行動に移せることは少なからずあると思います。地域コミュニティやボランティア活動への参加、もちろん、行政主催の事業やワークショップなどを含め、世代を問わず参画が進むよう、具体的な取組を進めていきたいと考えております。
これらを踏まえ、3期12年の山本町政を継承し、若者が活躍し高齢者が生きがいを持つことができるまち「創ろう未来!新しい清水町!」に向けた5つの政策を柱とし、分野別の具体的な施策を進めていくことといたします。

~町政運営の重点分野~
まず、第1の柱は「子育て世代と若者の支援」であります。
本町ではこれまでも子育て環境の充実を第一に掲げ、高校生相当年齢までのこども医療費の完全無償化、放課後児童教室の施設整備等、その充実に注力してまいりました。
これらは、何よりも子どもたちが健康に成長していくことを重要視し、最優先で実施してきたものでありますが、子育て中のお父さんやお母さんが、清水町に住んで良かった、清水町なら安心して子育てが出来ると感じていただき、今後も大学等への通学や就職時の支援などを展開してまいります。

第2の柱は「笑顔があふれいつまでも健康で活躍できる『笑街健幸都市』の創生」であります。
人生百年時代とも言われる中、高齢期においても元気で活躍でき、生きがいのある充実した人生を送ることは、社会全体はもちろん、個人にとっても幸せなことです。世代を問わず、食や運動を通じた健康増進、多様な学びによって得られる知識と文化の向上は、人づくり、まちづくりの根幹を成すものであります。
「笑街健幸都市」という言葉には、町民の皆様一人ひとりの笑顔があふれ、いつまでも健康で活躍できるまち、そして、それを実現するための地域の進むべき方向性を示しております。
現在着手しております図書館・保健センターの複合施設は、正にその拠点としての特性と機能を有しており、開館後は多様なソフト事業等により、皆様の健康増進と学びの機会を提供してまいります。
また、施設の運用につきましては、地域交流センターとの連携を密にしながら、各種講座等の充実を図るとともに、町民の皆様のニーズに合わせた事業展開や利便性の向上を図るよう準備を進めてまいります。
あわせて、地域で孤立することなく、人と人とがつながれる場所、特に、高齢者が憩える場所や健康づくりの機会の創出にも取り組んでまいります。

第3の柱は「清水町らしさを守り・活かす新しい観光の推進」であります。
我が国の観光の在り方や動向は年々変化を続けており、中でも訪日外国人旅行者は昨年累計3千万人を突破し、過去最高を記録するなど予想を上回るハイペースで増加を続けています。観光庁は、2030年に訪日外国人旅行者6千万人を目標に、観光の受け皿となる全国的な地方誘客と消費拡大を重要な推進事項に掲げており、本町も、旅行者に選ばれる魅力的なコンテンツの充実を図っていくことが重要だと考えております。
国内外を問わず、旅行者が求める観光ニーズは、これまでの「物見遊山型観光」から「体験型観光」へ変化しています。観光のあり方が大きく変化している時代を捉え、体験価値を提供する観光を推進していかなければなりません。
そのためにも、柿田川湧水群の自然環境保全と観光交流の共存・発展を図りながら、町民や事業者等との価値観を共有した観光の推進を目指してまいります。

第4の柱は「都市機能の強化」です。
公共施設等総合管理計画をはじめとする公共インフラのストックマネジメントにより、各種施設の長寿命化を図るための計画的な整備が進んでいます。
施設等の老朽化に伴う改築等につきましては、多額の予算を要することから、将来的な人口推計を基準にライフサイクルコストを算出したうえで、適正な規模、立地を改めて検討する必要があります。
今後は、生産年齢人口が年々減少していることなどを勘案し、取組方針として、30年先、50年先の未来へ向けた戦略、いわば、人口の将来推計等に基づく適応戦略ともいうべき計画を根拠に、合理的なまちづくりを描いていかなければなりません。
そのためにも、良質な町民生活の維持や産業・観光振興を念頭に置きながら、どのような施設や機能をつくり残すべきかなどの検討を進めていきたいと考えております。
第5の柱は「地域経済の活性化」です。
本町は、住宅都市として発展する一方で、柿田川をはじめとする豊かな自然と都市機能が共存、調和した生活利便性と環境に恵まれた地域であります。
しかしながら、町域が狭く、大規模な企業誘致や宅地開発等が困難であるなどの課題を抱えておりますので、土地利用や都市機能の見直し等により、地域経済の活性化を図る必要があります。
地域経済の活性化は、人口、税収、雇用の拡大を促進するための基盤として重要な戦略分野に位置付けており、「自立し以上申し上げた政策の5つの柱を町政運営の重点分野としながら、引き続き、第4次総合計画に掲げる将来都市像である「笑顔があふれ ここちよく 住み続けたくなるまち・清水町」の実現に向けて誠心誠意取り組んでまいります。
なお、本年度の主要施策につきましては、第4次総合計画の6つの基本目標に沿ってその大要を御説明申し上げます。

~人がふれあい快適で住みよいまち~
まず、一つ目の基本目標「人がふれあい快適で住みよいまち」に向けた施策についてであります。
ここでは、快適な住環境に恵まれたまちを目指し、町民がコミュニティやまちづくりに積極的に参加できる機運を醸成し、公園や下水道の整備、広報、広聴事業の充実を図ってまいります。
本年度は、1人でも多くの方に町の情報をお届けできるよう、既存の広報しみずやホームページに加え、SNSや分野別のアプリケーションを導入するなど、戦略的な広報事業を具体的に展開してまいります。
また、引き続き各区自治会の運営や施設整備への支援、町民の憩いの場としての柿田川公園の整備等に取り組んでまいります。
町内循環バスにつきましては、障がいのある方を支援するため、本年度から身体・療育・精神の手帳をお持ちの方を無料といたしました。今後も、幅広い世代、様々な用途での利便性と利用促進を図ってまいります。
下水道の整備につきましては、久米田・上徳倉・下徳倉地区の測量設計や、玉川地区をはじめとする町内未整備箇所の整備を推進するとともに、既存施設の計画的な維持管理を行うため、ストックマネジメント実施計画を策定いたします。

~安全で安心して暮らせるまち~
次に、二つ目の基本目標「安全で安心して暮らせるまち」に向けた施策についてであります。
ここでは、道路や交通安全施設等の整備を図るとともに、交通事故の削減や渋滞の緩和を目指すほか、防災基盤の強化、犯罪の抑止など、安全、安心のまちづくりを目的とした施策を推進してまいります。
防災基盤の強化につきましては、TOUKAI-0推進事業や同報無線デジタル化工事を引き続き実施するほか、指定避難所の防災資機材設備の充実を図ってまいります。
道路整備につきましては、西間門新谷線や伏見柿田線など町内幹線道路の整備のほか、サントムーン周辺の歩道や各小学校区のグリーンベルト等交通安全施設の整備、さらには、橋梁の耐震補強や補修工事等、安全かつ快適な道路環境の整備に努めてまいります。
また、防犯体制を強化するため、区有防犯灯の整備、子ども見守り隊の支援等を引き続き行い、地域との協働による犯罪のない明るいまちづくりに取り組んでまいります。

~元気な子どもの声が聞こえるまち~
次に、三つ目の基本目標「元気な子どもの声が聞こえるまち」に向けた施策についてであります。
ここでは、安心して子どもを産み育てられ、元気でいきいきとした子どもがあふれるまちを目指し、子育て支援制度や施設整備、教育環境の充実を図ってまいります。
学校施設の整備につきましては、本年度、清水中学校・南中学校の洋式トイレの改修や経年劣化に伴う工事を行うほか、小・中学校のエアコン設置とあわせ、子どもたちが安心して学習できる施設環境の充実に引き続き取り組んでまいります。
また、放課後児童教室の整備につきましては、本年など、更なる学力の向上を図ってまいります。
子育て世帯への支援につきましては、0歳児から高校生相当年齢までの入院・通院を完全無償化したこども医療費助成事業やひとり親家庭への各種支援、子育て支援センター事業や子育てコンシェルジュの配置など、経済面や心の負担軽減を図るとともに、安心して子育てが出来る環境づくりを引き続き進めてまいります。

~健やかで生きがいを持てるまち~
次に、四つ目の基本目標「健やかで生きがいを持てるまち」に向けた施策についてであります。
ここでは、心身ともに健康で生きがいを持って生活できるまちを目指し、各種健(検)診や予防体制の充実、食育の推進、高齢者福祉施策の充実、生涯学習やスポーツの機会の提供に取り組んでまいります。
施設整備につきましては、講座・教室や健康相談のほか、町民が交流できる憩いの場として、図書館・保健センターの複合施設の新築工事、総合運動公園内のジョギングコースの改修をはじめとした既存体育施設の修繕等、生涯学習とスポーツ振興の機会を安定して提供できるよう、整備を進めてまいります。
乳幼児期の健康に関しましては、電子母子健康手帳アプリの導入による情報伝達の強化やフッ素洗口事業による歯科口腔の健康づくりを本年度から新たな取組として実施してまいります。
また、障がい福祉分野におきましては、多様化する障がい者支援の充実を図るため、健康福祉課に「基幹相談支援センター」を新たに設置し、運営を開始しております。
高齢者福祉の分野につきましては、高齢者が地域において安心して自分らしい生活を営むことができるよう、介護予防事業や包括的支援事業等の充実に努めてまいります。

~自然と共生し環境にやさしいまち~
次に、五つ目の基本目標「自然と共生し環境にやさしいまち」に向けた施策についてであります。
ここでは、豊かな自然の保護と資源を有効に活用する、環境にやさしいまちを目指し、柿田川をはじめとする自然環境の保護・保全、ごみの減量化やリサイクル化等の推進に取り組んでまいります。
自然環境の保全活動につきましては、柿田川の外来種駆除、涵養地保全のための植樹を実施するなど、貴重な自然環境を未来に継承するための事業を推進するとともに、資源循環型社会の構築を図るため、ごみの分別、減量、リサイクル化の周知に努め、太陽光発電システム等への助成に引き続き取り組んでまいります。
また、自然と触れ合える環境づくりといたしまして、丸池公園内の歩行者導線の確保と周遊性の向上を図るため、通路の整備や連絡橋の設置に向けた設計等を実施してまいります。

~産業の活力に満ちたにぎわいのあるまち~
最後に、六つ目の基本目標「産業の活力に満ちたにぎわいのあるまち」に向けた施策についてであります。
ここでは、産業が盛んで活力にあふれたにぎわいのあるまちを目指し、地域産業の発展と新たな産業の創出を支援するとともに、総合的な土地利用の推進に取り組んでまいります。
地域産業の活性化につきましては、町の産業振興の中核を担う町商工会を支援するとともに、中小企業助成事業等による企業の活力の向上に尽力してまいります。
また、町内に進出する企業等を対象とした地域企業立地促進事業や、伴走型の相談支援により、創業や起業の支援を図ってまいります。
農業分野につきましては、農地保全対策に努めるとともに、都市型農業やスマート農業の支援を進めてまいります。
観光振興分野につきましては、県内自治体とJRグループ等が連携して開催しております「静岡デスティネーションキャンペーン」をはじめとして、広域での広告宣伝やプロモーション活動に参画しながら、観光誘客と地域活性化に取り組んでまいります。
計画的な土地利用の推進につきましては、町全体の構造を見渡しながら、居住機能や医療・福祉・商業等の都市機能の誘導と持続可能な地域公共交通ネットワークの形成を推進するため、都市計画の新たな指針となる次期都市計画マスタープラン及び立地適正化計画の策定に着手いたします。
以上、私が掲げた政策の5つの柱と各種主要施策の大要を申し上げましたが、言うまでもなく、まちづくりの主人公は町民の皆様であります。
町民参加のまちづくりの推進には、行政とともに力を合わせ「支え合いと協働」を理念とする町民主体のまちづくりと、活力ある地域コミュニティの構築が必要です。
そのためにも、地域における「共助」の仕組みを充実させ、地域課題を自ら解決する気概を持った人材の発掘や育成、地域住民団体の活動支援により、地域コミュニティの「絆」を強化する取組を推進してまいります。
また、まちづくりにおいては、様々な視点、多様な意見を切り口に検討を加え、具体的な施策に反映していく仕組みも必要だと考えておりますので、外部有識者等による「(仮称)清水町みらい会議」を新たに設置し、取組を推進してまいります。
さらに、行政運営のあり方につきましても、より町民の皆様の立場になって施策や事業の成果を追求する、成果志向の行政運営を推進するとともに、成果をわかりやすくお示しできるよう施策管理サイクルの構築にも努めてまいります。
また、町民サービスの質の更なる向上を図るため、目的志向型の組織編成、職員個々の人材育成を理念とした組織マネジメント等、役場組織が能力を十分に発揮できるよう、取り組んでまいります。

~結びに~
以上、私の町政運営に対する基本的な考え方と令和元年度の主要な施策について、その概要を御説明申し上げました。
この結果、骨格予算として編成した本年度当初予算に、本定例議会に御提案させていただきました補正予算を合わせた一般会計の総額は、111億770万4千円となり、平成30年度当初予算に比べて3%、3億2,170万4千円の増となり、昨年度に引き続き、町政史上最大規模となりました。
また、これに特別会計の補正予算を合わせた総額55億9,075万6千円と下水道事業会計の総額20億8,471万5千円を合計いたますと、187億8,317万5千円となり、全体の予算規模は平成30年度当初予算に比べて5.4%の増となったところであります。
本年度の行政運営におきましても、財政の健全性に留意しつつ、多岐に渡る行政課題の解決と「まち・ひと・しごと 人口ビジョン・総合戦略」に位置付けた重点分野の事業推進に全力を挙げて取り組んでまいります。
なお、本町におけるまちづくりの指針である現行の総合計画につきましては、令和2年度をもって計画期間満了となります。本年度から次期総合計画の基本構想・基本計画の策定検討に着手いたしますが、これからの長期的なまちづくりを、町民の皆様とともにつくり上げてこそ未来志向の新しい清水町への第一歩になるものと考えます。今後とも、輝かしい地域の未来のため、多くの皆様からの忌憚のない御意見をいただきたくお願い申し上げます。
以上、令和元年度の施政方針を申し述べさせていただきました。
町民の皆様並びに議員各位におかれましては、なお一層の御支援と御協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。
ありがとうございました。

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