<国保料>静岡県内11市町が上昇予想 都道府県へ運営移管
下記、8月27日の静岡新聞
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国保料、静岡県内11市町が上昇予想 都道府県へ運営移管
(2017/8/27 08:07)
来年4月に国民健康保険(国保)の運営主体が市区町村から都道府県に移る制度変更に伴い、市区町村の35%は来年度、加入者が支払う保険料が上がると予想していることが26日、共同通信の調査で分かった。静岡県内では11市町が「上がる」と予想、3市町が「ほぼ変わらない」とした。牧之原市と南伊豆町は「下がる」と見込んだ。ほぼ半数の18市町が「不明確な要素が多い」(静岡市)などとして「分からない」と回答した。
県内で「上がる」と答えた市町では「試算結果による」との回答のほか、「収納率が低く、納付金を確保するためには少なからず保険料率を上げる必要がある」(焼津市)、「所得水準も医療費水準も他市町と比較して低く、公費負担の拡充を考慮したとしても引き上げが想定される」(川根本町)などの理由が挙がった。
全国では、保険料の急激な上昇抑制などを目的にした国の財政支援の配分が決まっていないため、半数近くは保険料の変化を「分からない」と回答。保険料の変動幅もはっきりしていない。配分額によっては保険料が上がる自治体がさらに増える可能性もあり、国の支援に対する不安の声も上がった。高齢者や低所得者が多い国保加入者の負担増が懸念される。
都道府県への移管は、慢性的な赤字を抱える国保を広域化することで、財政基盤を安定させるのが狙い。現在は市区町村の判断で保険料を決めているが、来年度からは、都道府県が各市区町村の医療費や所得水準などを基にそれぞれの保険料水準の目安を示す。市区町村はそれを参考に保険料を決める方式に変わる。
調査は6~8月、全1741市区町村を対象に実施。回答した1572市区町村のうち、保険料が「上がる」と予想したのは34・8%に当たる547市町村。「下がる」は3・5%で「変わらない」が13・5%、「分からない」が48・2%だった。
上がる理由(自由記述)は「他の市町村に比べて医療費水準が高い」「保険料を低くするための一般会計からの繰り入れがしづらくなる」「国の財政支援があまり期待できない」などだった。
運営移管で懸念すること(複数回答)は「保険料の大幅変動」が38・0%と圧倒的に多く、「事務上の負担増やミス」の18・3%、「システムトラブル」の15・5%が続いた。
期待することは「国保財政の安定化」が29・8%でトップ。「国の財政支援の拡充」が23・2%、「市区町村の財政、事務負担の軽減」が21・7%だった。
来年4月以降も、住民の手続きの窓口は市区町村で変わらない。
■県内、当面統一せず 国保料
国は2018年4月に新制度に移行する国民健康保険(国保)の運営について、将来的に都道府県内は同じ保険料に統一することを目指しているが、県は、県内の市町間で異なる国保料水準を当面の間、統一しない方針を決めている。まずは市町の国保運営の健全化を図り、段階的に統一を目指すとしている。
県によると、県内の市町における1人当たりの年間国保料(15年度)は最高で11万5千円、最低で7万5千円と1・53倍の差が生じている。市町の間で医療費適正化の取り組みや算定方式などが異なるためで、県は制度移行時の統一は困難と判断した。
県は市町が国保料の設定時に参考とする「標準保険料率」を市町ごとに算出する計画。将来的には標準保険料率の一本化を目指すとした運営方針案もまとめ、9月15日までパブリックコメント(県民意見公募)を受け付けている。
<メモ>国民健康保険 75歳未満の自営業者や非正規労働者、無職の人ら約3200万人が加入する公的医療保険で、市区町村が運営。会社員が入る協会けんぽや健康保険組合より高齢者が多く、医療費がかかる。一方で、低所得者が多いため保険料収入が少なく、2015年度の実質赤字額は約2800億円に上る。規模を大きくして財政を安定化させるため、18年度から都道府県に運営を移管することが15年成立の関連法で決まった。移管に伴う保険料の急激な上昇を和らげるため、国は財政支援を拡充する。
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清水町は上がると予想。
次回、3月議会で国保税条例の改正が予定されている。
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